話題銘柄をテクニカルで斬る 中国、米国、欧州の2014年経済指標「失速」に翻弄された株式市場、世界経済の行方は如何に?

テクニカル


マークイット/HSBCが2月20日に発表した2月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は48.3で1月の改定値49.5から低下し、2カ月連続の50割れで7カ月ぶり低水準になった。雇用指数が5年ぶりの低水準に落ち込んだことが背景。PMIは50が景況の改善・悪化の節目。1月31日から2月初旬までの春節(旧暦の正月)の連休が、製造業の生産に影響したとみられる。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(香港)のTing Lu氏とXiaojia Zhi氏は「貿易統計や信用の伸びが市場予想を上回っており、これまで公式データで示された経済指標は強弱まちまちだ」と指摘。現時点で、短期的に経済が勢いを増す兆候はあまり見受けられないとした。2月の雇用指数は46.9で、2009年2月以来の低水準で、低下は4カ月連続だ。このPMIの雇用指数は中国の労働市場の健全性を測る数少ない指標の1つである。

同じく20日に発表された世界の製造業統計では、米フィラデルフィア地区連銀業況指数が大幅低下し、世界経済をめぐる懸念が高まった。同連銀の2月の製造業業況指数はマイナス6.3と前月のプラス9.4から逆転。市場予想はプラス8.0と見込んでいたからサプライズだ。同指数はゼロが拡大、縮小の分岐点。13年後半に勢いを増した米経済が14年に入り幾分失速しているとの見方を裏付けた格好。全米を襲った記録的な寒波が一因とみられているが、それだけでは懸念を完全に払しょくすることはできない。一方、マークイットが発表した2月の米製造業PMI(速報値)は56.7と前月の53.7から上昇し、10年5月以来の高水準になった。主に新規受注が増加したことで押し上げられた。ロイターがまとめた市場予想の53.0も上回った。どちらが米国の実相なのだろうか。

また、マークイットが発表した2月のユーロ圏総合PMI(速報値)は52.7と、2年7カ月ぶり高水準だった前月の52.9から低下し、エコノミスト予想の53.1も下回った。ただ、節目の50は8カ月連続で上回った。Gプラスのコミレバ氏は、ユーロ圏のPMIについて「ユーロ高の継続に加え、域内の主要国間で格差が拡大し、世界的に成長への向かい風が吹く中、ユーロ圏の景気回復は依然極めて脆弱(ぜいじゃく)である」と指摘した。ユーロの盟主ドイツの総合PMIが2年8カ月ぶり高水準の56.1をつける一方で、フランスのPMIは47.6。フランスの第4四半期GDP(国内総生産)伸び率は前期比プラス0.3%だったが、2月のPMIは低迷した。欧州中央銀行(ECB)へ追加緩和を講じるよう圧力が高まる公算がある。

13年末に資金運用規模が270兆円を超えたヘッジファンド。そのロングショートモデルの巨額資金が、これらの景気指標を利用してインデックスETFや指数先物・オプション、さらに指数寄与度の高い現物株(ソフトバンクやファーストリテイリングなど)の日計り売買(鞘抜き)を繰り返し、相場を撹乱、もうけている。バイ・アンド・ホールドの運用者には、世界景気を考える上でミスリードしやすい状況だ。

世界経済を反映する総合商社トップの三菱商事(8058)、中国、北米航路など海運の商船三井(9104)、日本航空は再上場でチャートが取りづらいので、同じく国際線を展開しビジネスマンの利用する全日本空輸(ANA、9202)、世界景気を反映する国際商品市況の中から、産業景気と関係の深い銅市況のDOWA(5714)で考察したい。昨年と今年の地合いの違いを見るために過去1年のデータを日足ラインチャートで分析する。結論は、大方見送りとなり、13年12月以降に世界銀行、国際通貨基金などが2014年の世界経済見通しを上方修正したのとは、「逆の結果(=世界経済への懸念)」を、「景気に先行する」株価が示しているといえよう。NISA(少額投資非課税制度)口座の3月期末配当取り、優待券取り人気で売場提供へ。

DOWA(5714) 時価買い、吹き値売りの割り切り

5714日足は、2013年5月以降、2カ月リズムで高値を形成。直近は1月8日である。この高値はダブルトップともトリプルトップ、クアトロトップの形成とも見えるノコギリチャートだ。1月8日の高値1,035円形成後の高値は右肩下がりで下降トレンド入り。2月4日の安値853円は13年8月の安値871円を割り込んだものの、反転、上昇に転じた。ただし、三角もちあいの途上であり、3月に高値形成、4月下落のリズムを想定、時価買い、吹き値売り。目標株価は900円。

三菱商事(8058) 下げトレンドの中の短期リバウンド

8058日足は、DOWAほどではないが、2013年9月の2番天井2,048円をピークに2カ月リズムで上値を切り下げ、下降トレンドを形成。14年2月4日のシングルボトム1,767円は、13年5月22日のシングルトップ形成時と似ている(上下は逆)。5月の相場は、その後2番底、6月の安値1,676円への下げトレンドとなった。この2月の相場は2,010円へのショートリバウンドに入った。ただ、時価との上値余地は小さく投資妙味なし。見送り。2,000円割れで打診買い。

商船三井(9104) 自律反発もエネルギー不足

9104日足は、2013年4月1日の安値295円と11月1日の安値407円を結ぶ上昇トレンドラインを14年1月に割り込み、下げ相場入りを示した。12月27日の高値477円から2月6日の安値390円まで下げて、反発したが、戻り高値は422円のネックラインで頭打ち。13年5月21日の高値445円から6月13日の安値340の下げからの反発と似ているが、反発力は弱い。様子見。422円を上抜けば打診買い。

ANA(9202) 狭い値幅で投資妙味薄い

9202日足は、狭いレンジの往来相場。2013年4月1日の安値183円を起点に下値を切り上げ傾向を示していたが、14年2月4日の安値206円は11月5日の安値205円を下回り、切り上げ相場一巡を示した。上値は13年5月22日に高値237円を付けたが、14年1月17日の高値233円はこれを超えられず、上値切り下がりの弱さを示した。206円からの反発は、221円のネックラインを上回り、一段高の様相だが上値メドは233円か237円で投資妙味薄い。見送り。

戻る