話題銘柄をテクニカルで斬る コマツ(6301)、伊藤忠商事(8001)、ユニ・チャーム(8113)、アサヒグループHD(2502)

テクニカル


高度経済成長に落とし穴はないのか 中国投資リスクを主要関連株の動きから見通す

銀行の簿外融資など中国の「影の銀行(シャドーバンキング)」問題が再び、市場心理を弱気にさせているようだ。中国の地方政府が、その政府関連企業を通じて、住み手の居ない高層マンション建設など不動産開発で債務を増加させている。ただ、この固定資産投資が中国の経済成長の一原動力であり、地方政府の共産党官僚の賄賂(わいろ)など汚職の温床でもあるから、問題は複雑だろう。報道によれば、「影の銀行」の債務は約15兆元、対名目GDP(国内総生産)比で29%程度、銀行融資の22%程度とみられている。これが事実ならば、中央政府の同15%と合わせて、政府債務残高は対名目GDP比44%となる。日本の同218%、ギリシャの158%、米国の106%、ドイツの82%などと比較して健全に見えるが、問題は地方政府の返済能力である。

さらに、「影の銀行」問題も絡むのが、中国本土で金融機関が販売した「理財商品」(証券化商品)も深刻な問題とみられている。投資家から見れば、予想運用利回りは10%前後と高く魅力的に見える金融商品。理財商品の投資先は千差万別で、企業向け融資、不動産開発向け融資、土地投機などだ。「ハイリターン」はハイリスクの裏返しである。経済成長で不動産の価格は上がり続けることを前提にすれば、不動産に担保価値があり、所有期間利回りも高いが、日本の土地神話崩壊や米国のサブプライムローンの焦げつきなど、ひとたび不動産価格が下落に転じれば、理財商品は紙くずになるだろう。この理財商品の残高は約500兆円と言われている。

中国の中央政府は経済成長率の鈍化もあり、理財商品の監視を強めている。友人の米系ヘッジファンド運用者は、公言できない秘密だが、高利回りに惹かれて間接的に「理財商品」に投資したヘッジファンドは多いという。信用保証の格付け機関から、高格付けを取得したサブプライムローン金融商品に投資した投資家と非常に構図が似ている。社会主義計画経済に市場原理を導入した中国経済に、資本主義国家のような景気循環、不景気は来ないのだろうか。

中国関連株の動きから、この中国投資リスクを推し量りたい。日経中国関連株50の構成銘柄の中から、業種を分散し、中国全土で事業展開を図るアサヒグループHD(2502)コマツ(6301)伊藤忠商事(8001)ユニ・チャーム(8113)で分析する。分析ツールはローソク足よりも、株価トレンドが読みやすいバーチャートとする。それも陰陽を区別しないシンプルな初期バーチャートを使用する。日本のチャーチストはローソク足(キャンドルチャート)ばかり使用するが、欧米では合理的なバーチャートが主流。株価データは「影の銀行」が不安視された昨年を含む過去2年とし、トレンドラインで分析する。結論は、業種に関係なく4銘柄とも「見送り」となった。国際情勢に敏感な海外投資家は、「眼に見えない」中国リスクを警戒、見切り売りに動いたようだ。

3月5日からは10日間程度で中国の全国人民代表大会(全人代)が開幕する。既に重要な政策の意思決定は共産党中央全会(前年秋)や中央経済工作会議(前年末)で行われており、3月の全人代で新たに何か決まるわけではないと思われるものの、事態の成り行き次第では、住宅・不動産向け融資の厳格化など金融引き締めや地方政府の監督強化などが打ち出されるかもしれず、全人代の無視もできない。それが、足元の株価に現れているようにも見える。

コマツ(6301) 2,000円ネックラインの攻防

6301コマツの週足は、美しい三尊天井を形成した。2012年10月の安値1,439円を起点に、13年2月の高値2,507円と5月の高値3,095円、9月の高値2,610円を天井とし、13年12月の安値2,001円で三尊天井の形成が確認できた。2,000円は週足のネックラインで、週足は14年1月31日に安値2,021円を付け2,000円手前で踏みとどまったが、下降トレンドの終了は示唆していまい。様子見。2,000円を割り込んだ場合の下値メドは、節目の1,600円。そこを割り込めば、起点に里帰りの1,439円になる。

伊藤忠(8001) 下降トレンドの三角もちあい

8001伊藤忠商事の週足は、2012年11月の安値774円と12年10月の安値1,134円を結ぶトレンドラインに14年1月の安値がタッチした。この右肩上がりのトレンドラインを割り込むと上昇相場から下降相場へ転換のシグナルだ。その場合の下値メドは13年9月の安値1,100円。他方、週足がトレンドラインを割り込まず反発した場合は、13年5月の高値1,568円と14年1月の高値1,373円を結んだトレンドラインで、週足は三角もちあいに入る。見送り。もちあい放れが上に向かうのか下かは現状不明であり、見方によっては1,568円と1,373円でダブルトップの形成と判断できるからだ。

ユニ・チャーム(8113) ダブルトップ形成の下降相場

8113ユニ・チャームの週足は、長いバーチャートの連続でチャートの入門書向きの分かりやすさ。2013年5月の高値6,650円と12月の2番天井となる高値6,690円で美しいダブルトップの形成途上にある。12月の6,690円から14年1月の安値1,247円に向かうトレンドラインは先安を示している。下値メドは12年8月の安値5,050円。ここを割り込むとダブルトップの形成完了になる。そこからの下値メドは、12年5月の高値4,630円と8月の高値4,645円で示される4,700円のネックラインである。見送り。

アサヒグループHD(2502) 相場転換のトレンドライン割れ

2502アサヒグループHDの週足は、昨年6月の安値1,625円を起点とした上昇トレンドが12月の高値2,996円で終了した公算がある。2014年1月にバーチャートは下値切り下げパターンに転じ、週足は13年1月の安値1,845円と8月の安値2,431円を結んだ右肩上がりのトレンドラインを14年1月31日の安値2,690円で割り込んだ。相場転換のシグナルだ。見送り。下げ相場の下値メドは2,480円のネックライン。

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