取材の現場から 「走行税」導入検討で急浮上するETC 国交省と環境省は前向き

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 例年より1カ月遅れで税制改正大綱がまとまった。焦点の1つだった車体課税の撤廃は、自動車取得税の廃止は決まったが、自動車重量税は存続することとなった。地方予算を減らしたくない議員の声が強く、また、笹子トンネルの崩落事故など老朽した道路インフラの改修が不可欠という意見が採用された。

 重量税が生き残った背景には、財務省の強い意向もあった。車体課税の撤廃を求める自動車業界や経産省、国交省に対して財務主計官は、「代替財源があれば撤廃してよい」という姿勢を一切崩さなかったという。代替財源としては石油増税ぐらいしかアイデアがなく、円高と原油高が進む中でそれは難しく、財務省の壁は崩せなかった。

 そんな中で、走った距離に税金を掛ける「走行税」導入の検討が進んでいる。重量税は自動車の重さに税金を掛けた。重いクルマほど道路を傷めるという理屈だが、受益者負担という観点なら、走行距離に応じて徴税する方が公平にも感じる。ただ、自動車業界からすれば、重量税が走行税に差し替えられるだけでメリットがない。ところが、国交省と環境省は前向きだ。

 国交省の社会資本整備審議会・道路分科会は昨年8月に「中間とりまとめ」を公表。その中で、一般道路の対距離課金の導入にも言及した。

 環境省も、「税制全体のグリーン化推進検討会」で走行税の有用性が議論されている。クルマが走ればそれだけCO2(二酸化炭素)が増えるので、走行距離に税を掛ければCO2削減につながる。走行税で集めた歳入は、温暖化対策に使うという理屈だ。

 ただ、実際に走行税を導入する場合、徴収の仕組みをどうするかが最大の課題。どのくらい走ったか確認するのは難しい。そこで注目されているのがETC。ETCを全車両に装着すれば走行税の導入は可能になる。ETCの装着率は定かではないが、国内保有台数の5割に近づいているとも言われている。

パナソニック(6752) 日足

パナソニック(6752) 日足

 もしそうなれば、ETCの需要は一気に高まる。車載機ならパナソニック(6752)やミツミ電機(6767)、アルプス電気(6770)、パイオニア(6773)、カルソニックカンセイ(7248)、通信設備建設のコムシスホールディングス(1721)らの商機となる。

 しかし、ETC義務付けはハードルが高く、米国から輸入車規制だと圧力が来る可能性もある。ただ走行税自体は、ロンドンやオレゴン州、オランダなどでGPS(衛星利用測位システム)を使った運用実験や検討が行われているという。

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