製薬会社→医療機関・医師への資金提供透明化 注目されるCRO、SMO

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新薬の開発や、発売された薬の調査などにあたり、製薬会社と医療機関および医師との連携は必須。両者は切っても切れない関係にあり、さまざまな名目で製薬会社から医療機関などにお金が支払われている。

これまでその資金の全体像は不明確だったが、業界団体「日本製薬工業会」(製薬協)に加盟する製薬会社が、医療機関や医師に提供した資金の情報公開を昨年から始めた。その各製薬会社の公開情報を集計した毎日新聞(4月6日付)によると、加盟製薬会社が医療機関や医師に提供した資金の総額は「4,827億円」。

シミック(2309) 日足

シミック(2309) 日足

その内訳は、(1)新薬開発のための臨床試験費用など研究・開発費2,471億円、(2)研究室への奨学寄付金や学会への寄付金など学術研究助成費540億円、(3)医師個人への講師謝礼や原稿執筆料など270億円、(4)医師を集めての講演会や説明会の開催費など情報提供関連費1,428億円、(5)接待費など115億円――とのこと。

“資金透明化”に大きな影響を与えたといわれているのが、米国で2010年3月に成立した法律。製薬会社が医療機関や医師に10ドル以上の資金・物品・サービスを提供した場合、米政府に報告しなければならない「サンシャイン条項」が盛り込まれたのだった。

日本においても製薬協がまとめたガイドラインにのっとって、情報公開が始まったことで、これまで不明瞭(めいりょう)だった製薬会社から医療機関および医師への資金提供の透明化が今後進む見通し。同時に、例えば日本特有の「奨学寄附金」といった慣行の見直しも進むとみられている。

奨学寄附金は、製薬会社が贈り先の研究室を指定できる。その研究室が臨床試験を手掛けているとなると…。

こうした中、毎日新聞では、「外資系製薬会社を中心に、医師に臨床試験をしてもらう必要があれば、奨学寄附金を提供するのではなく、正式に委託契約を結んだ上で費用を負担するケースが増えている」とも報じた。

資金透明化は、「製薬会社から委託を受け、医療機関に依頼して臨床試験などの業務を支援するCROや、医療機関と契約し臨床試験を支援するSMOなどの利用拡大につながるとみられる」(市場関係者)。

CROのシミック(2309)イーピーエス(4282)、SMOの綜合臨床(2399)アイロム(2372)イーピーミント(6052・JQ)などへの関心が今後高まっていく可能性がありそうだ。

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