知的財産が国の勝敗を決める “知財組込みGDP”が話題

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味の素(2802) 週足

味の素(2802) 週足

三菱UFJモルガン・スタンレー証券が24日付で発行したマクロ経済分析レポート「知的財産が国の勝敗を決める。“知財組込みGDP(国内総生産)”を推計してみた」が一部市場関係者の間で話題となっている。医療用ロボットで世界最先端を走り、次世代を担うとの期待感が高いサイバーダインの上場も、知財に関心が向かう1つのきっかけ。

■中国 他山の石

同証券はレポートで「中国では“影の銀行”経由で不動産や生産設備などに資金が回っているが、これらは数量効果で短期的な収益を追い求めているにすぎず、結局のところは整理淘汰(とうた)される運命。高度な技術に裏付けされた知財組込み製品のラインアップを用意できないと、企業の継続性は担保されないだろう。その点、米国は知財組込み製品・サービスのウエートがここにきて上昇している」と指摘。

■海外委託GDP

米国は世界最大の対外特許料・ロイヤルティー収支の黒字国。その受け取りは年間1,242兆ドルに上り、その特許料率は平均6.0%と他国を圧倒している(日本は4.6%、ドイツと韓国は3.5%)。

これらを基に同証券は、海外で米国の知財を使用して生み出されているGDPを「2.1兆ドル」と計算したが、これはロシアのGDPに相当するもの。同様の計算を他国にも当てはめると、ドイツは3,930億ドル、フランス2,920億ドル――といった具合。日本は「6,900億ドル」で、これはスイスのGDPをやや上回るものの、米国の半分以下。この「海外委託GDP」の対GDP比率は、日本とドイツの11.5%程度に対し、米国は12.8%で、米国の知財依存度の高さが分かる。

■知財組込みGDP

一方、国内生産高のうち専門技術・研究ソフトがGDPに何パーセント組み込まれているのか。

日独米の3カ国では首位はドイツ(10.6%)。ドイツは「海外委託GDP」で米国に水をあけられているが、この「知財組込みGDP」では米国(8.3%)を上回っており、同国は他国と比べ非公開の高度技術“ブラックボックス”が組み込まれた付加価値が多いことを示唆している。日本は「知財組込みGDP」のウエートが6.2%で独米に比べて低位にある上、15年前と比較しても1.5ポイント低下している。

■アベノミクスに欠けていること

日本は2013年の円安で輸出企業にとって国内生産のコスト的優位性が高まるところでも、製造業生産能力指数は前年比1.1ポイント低下した。米独などは2006年から07年に経済成長を軸を技術開発に据え、その成果が表れているともいえそう。同レポートは「日本のアベノミクスに欠けていることは何か、検証が求められる」と結んだが、“我が意を得たり”と感じる市場関係者も少なくないようだ。

■特許資産規模別ランキング

今後、「知財で稼ぐ」体制強化への関心が高まってくる展開も想定される。参考までに、特許評価会社のパテント・リザルトがまとめた業種別特許資産規模別ランキング(2013年版)のトップ3を表にまとめた。

 

■主な業種別特許資産ランキング(各部門のトップ3)
<1・2部等> 1位 2位 3位
精密機器 キヤノン(7751) リコー(7752) コニカミノルタ(4902)
ゴム製品 ブリヂストン(5108) 横浜ゴム(5101) 住友ゴム(5110)
窯業 日本ガイシ(5333) 日本特殊陶業(5334) 旭硝子(5201)
自動車部品 デンソー(6902) 日立オートモティブ ボッシュ
食品 味の素(2802) JT(2914) サントリーHD
繊維・紙パ 東レ(3402) クラレ(3405) 東洋紡(3101)
石油・エネルギー 中国電力(9504) 出光興産(5019) JX日鉱日石
医薬品 ロシュ 塩野義(4507) 田辺三菱(4508)
<新興銘柄> 1位 2位 3位
情報通信 ACCESS(4813) ジャストシステム(4686) 駅探(3646)
化学 エスケー化研(4628) 松本油脂製薬(4365) タカラバイオ(4974)
機械・精密 平田機工(6258) KVK(6484) ニューフレア(6256)
サービス アスカネット(2438) UBIC(2158) DNAチップ(2397)
電気機器 シーシーエス(6669) マイクロニクス(6871) 精工技研(6834)
※市場区分はリザルトによる集計時点
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