特報 揺れるオプトロム監理銘柄に

特報


開示義務違反と債務超過問題

3月9日夕刻、オプトロム(7824・名証セントレックス)が、今期末での債務超過解消をかけた資金調達計画とともに、過去に実施した第三者割当増資における引受先が、反社会的勢力との関係が疑われることを承知しながら、その事実を秘していたことを明かにした。

開示義務違反を自ら明らかにしたわけだから、同日、名証はオプトロムを監理銘柄(審査中)に指定。上場廃止基準に抵触しているのかどうかの審査が行われる。

ただ、オプトロムは2014年3月期に債務超過に転落しており、今期末で債務超過を解消できなければ、開示義務違反うんぬんよりも、こちらの理由で上場廃止になってしまう。

この日の開示のメインは債務超過解消のための第三者割当増資と新株予約権の発行に関する告知だったのだが、名証のリリースを読む限り、その打ち合わせの課程で反社会的勢力関連の開示義務違反とは別に、今回の資金調達における資金使途の開示義務違反も発覚してしまったらしい。

昨年9月30日から10月29日までの約1カ月間で、オプトロムは9900万円の借り入れを行っており、これについてデッドエクイティスワップを実施するつもりだったようなのだが、実際にはこの9900万円のうち4000万円は既に返済済み。従ってこの分を今回の資金調達における使途の一部とすることはまかりならぬ、ということになって、3月2日に「実は借金は返済していました」という何とも奇妙な開示になったというのだ。

実際には、貸し主であるステディ合同会社が出資の引き上げを要望、貸付金勘定で出していた資金の一部を預け金で戻して欲しいうんぬんといった複雑なやりとりがあったことが原因ではあるようで、綱渡りの資金繰りが続く中で起こるべくして起きたミス、もしくはトラブルということになるのだろう。

このオプトロムという会社、主要事業の業界が大きく縮小してしまったが故に経営難に陥り、あれこれ多角化を図るも、どれもうまくいかない会社の典型と言える。

そもそもの本業はCDやDVDのプレスだ。会社の設立は1986年7月。三井物産と三井石油化学、それに小田原のプラスチック成形加工メーカー・中谷産業を中核とする中谷グループの合弁企業として誕生している。この当時はまだ、世の中で売られている音楽ソフトがレコードとCDが半々くらいの時代だったから、高い成長期待を負っての創業だったのだろう。

上場は2006年10月。上場直前の時点ではSBIのベンチャーファンドが約17%を保有する筆頭株主だった。

そこで、例によって下の業績表をご覧いただきたい。02年3月期から06年3月期までは上場前の業績なのだが、営業利益では03年3月期がピークだったことが分かる。

上場してから今3月期で9回目の本決算期末を迎えるわけだが、過去8回の決算で最終黒字は上場初年度の07年3月期のみ。配当を実施したのもこの年だけだ。

CD、DVDのプレスは市場自体が大幅に縮小しており、これに代わる事業としてこれまでに手を付けた事業は次世代照明器具・Eクール、インターネットコンテンツ配信事業、高栄養資料製造、放射能除染事業、閉鎖型野菜工場事業、太陽光発電事業など多岐にわたるが、いずれもうまくいっていない。

今回は、第三者割当による新株発行で約8億円、同じく第三者割当による新株予約権発行で約4,000万円、その新株予約権の権利行使で約7億2,000万円、合計15億7,700万円を調達する計画になっている。

第3四半期末(14年12月末)時点の純資産が5億3,800万円のマイナス。一応修正後の今期の業績予想では、最終損益が8億2,400万円の赤字であり、第3四半期までの累計の最終損益が6億4,600万円の赤字。今の修正予想通りに着地出来れば純資産は7億1,600万円のマイナス。15億7,700万円満額の調達に成功すれば、純資産は8億6,100万円のプラスになり、一息はつける。

臨時株主総会は3月26日

ところで、今回は新株の割当単価が16.2円で、発行決定日前日の3月6日終値が39円なので、ディスカウント率は58.8%。明らかに有利発行なので臨時株主総会決議が必要になる。この単価で15億円も調達しようという計画なので、発行株数も多い。既に発行済み株式総数は現時点で6,875万株。上場当時の4.3倍に膨らんでいるが、そこからさらに9,489万株増えるので、138%の希釈化が生じる。

臨時株主総会では、発行価格と希釈化率、両方への理解を株主に求めることになるが、全額の調達に成功しても、CD、DVDプレス以外の新事業の未来は明るくない。上場廃止よりはマシと考えれば、既存株主は賛同せざるを得ないだろうが、債務超過解消が実現しても開示義務違反による上場廃止危機は残る。注目の臨時株主総会は3月26日に開催される。

オプトロムの業績推移
売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 総資産 純資産 自己資本比率 配当 発行済み株式 期末株価 PER PBR ROE
2002/3 2,892 43 △65 △79 3,530 355 10.1% 13,400 -22.3%
03/3 3,421 417 332 230 3,601 586 16.3% 13,400 39.2%
04/3 3,158 343 283 244 3,589 831 23.2% 13,400 29.4%
05/3 2,960 286 185 301 3,850 1,132 29.4% 13,400 26.6%
06/3 3,346 251 207 105 3,904 1,238 31.7% 13,400 8.5%
07/3 3,337 226 144 71 3,951 1,654 41.9% 1.5 15,900 70 14.14 0.67 4.3%
08/3 3,122 △46 △110 △76 3,868 1,482 38.3% 15,900 26 0.25 -5.1%
09/3 3,113 △116 △186 △1,103 2,717 526 19.4% 18,320 27 0.94 -209.7%
10/3 2,694 44 △85 △96 2,451 492 20.0% 20,256 35 1.45 -19.5%
11/3 2,431 △177 △262 △333 2,272 160 7.0% 20,256 15 1.91 -208.1%
12/3 2,287 △73 △119 △110 2,080 52 2.4% 20,256 13 5.18 -211.5%
13/3 1,869 △85 △146 △131 1,956 23 1.1% 29,256 24 33.80 -569.6%
14/3 1,933 △353 △445 △552 1,734 △333 -20.5% 41,256 27
15/3期初予想 1,960 136 70 61
15/3修正予想 1,177 △610 △815 △824 163,648
※金額の単位は配当と株価のみ円、それ以外は百万円。発行済み株式総数は千株単位。PER、PBRは実績ベース。09年3月期から11年3月期、15年3月期は連結、それ以外は非連結。
著者紹介 伊藤 歩(いとう あゆみ)
ノンバンク、外資系金融機関など複数の企業で融資、不良債権回収、金融商品の販売を手掛けた経験を持つ金融ジャーナリスト。主な著書に「TOB阻止 完全対応マニュアル」(財界展望新社刊)
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