取材の現場から 加速する日本郵政の民営化 金融庁との関係改善が焦点か

取材の現場から 連載


日本郵政が、アメリカンファミリー生命保険(アフラック)と業務提携すると発表した。アフラックのがん保険を販売し、専用のがん保険の開発も行うという。さらに、西室泰三社長は日本郵政の上場について、2015年春に前倒しするとも述べた。郵政民営化が一気に加速する。

郵政民営化は、銀行や生損保が「民業圧迫だ」と懸念を示し、金融庁もその意向をくんだ指導を行ってきた。郵政サイドから見れば、いじめともいえる指導が行われてきたのだ。

分かりやすいのがゆうちょ銀行、かんぽ生命の新商品の認可。ゆうちょは住宅ローンなど個人向け貸し付け、企業向けのシンジケートローン、かんぽは学資保険の拡充を求めていた。日本郵政は昨年9月3日にこれらの申請を行ったが、認可は先送りされている。

「日本郵政は、収益源の金融事業を広げなければ安定した収益を得られず、上場計画を立てられない。民営化のためには新商品ラインアップの拡充は必須だ。が、さまざまな口実をつけて、金融庁は阻み続けている」(総務省OB)。

金融庁は昨年2-4月にかんぽ生命への金融検査を実施し、保険金の大量未払いを発見。金融庁は、郵政が新規事業申請した9月に、保険業法に基づく改善報告書の提出を指示。かんぽは11月に10万件の不払いを公表したが、金融庁は「対策が不十分」とし、それを理由にかんぽの新商品の認可を先送りしている。

さらに、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)である。麻生金融担当相は4月12日、かんぽ生命の新商品認可をここ数年間は認めないと発表。麻生大臣は否定しているが、TPPを配慮した判断だといわれた。

ところが先の参院選挙で風向きが変わる。郵便局が支援する候補者が自民党比例で約43万票を獲得しトップ当選。郵政は存在感を示した。アフラックとの提携は、その直後に発表された。

日本郵政の今後の課題は、金融庁との関係改善だ。実は日本郵政は、財務省を通じた金融庁との融和を模索していた。昨年12月に日本郵政社長に坂篤郎氏が就任。財務省OBが2代続けて郵政社長に就任。郵政は財務省の天下り先となった。しかし、この天下り人事に菅官房長官が強く反発、西室氏に挿げ替えた。さらに鈴木康雄元総務事務次官が副社長に就任。郵政側にとって、ややこしい事態となった。

「この状況でいかに金融庁と手打ちするか。財務省カードを失った今、安倍政権のバックアップを得て金融庁を抑え込まねばならない。これが、郵政の完全民営化に向けた最大のハードルになる」(前出・総務省OB)。

戻る