公募・売り出し戦略 その2 下落リスク回避に「2つの方法」受け渡しまでの約1週間近く

JACK流「勝利の方程式」 連載


価格決定予想日のカラ売り

今回は、公募で獲得した後、制度の関係上、受け渡し(株を売却できる日)までに1週間近くかかりますので、それまでの間に、せっかく手数料無料でディスカウントして獲得した銘柄が、著しく下落してしまった場合のリスクの回避について掲載したいと思います。

そもそも、株価が下落するリスク回避というと、公募株式に限らず、2つしか方法はないと思っております。

1つは、先物やオプションでヘッジをすることになりますが、この手法は、ややポジションの構築や管理が複雑であり、少し内容が難しいということもありますから、詳細は、また何かの機会に別途掲載したいと思っております。

一方、もう1つの手法は、カラ売りとなります。

こちらの手法につきましては、以前、株主優待戦略でも御紹介いたしました。読者の方も内容は分かりやすいと思いますし、実際にやられている方も多いと思っております。

特に、こちらの手法につきましては、先物やオプションのヘッジとは異なり、ピンポイントで公募株式銘柄をカラ売りできることに妙味があります。

そのあたりにつきまして、実際に最近、公募増資があった具体的な銘柄にて解説したいと思います。

銘柄…ユナイテッド・アーバン投資法人(8960)
基準価格…12万9,200円 7月2日終値
公募価格…12万6,616円
ディスカウント率…2%

ここから、株価は下記の表のように推移いたします。

ユナイテッド・アーバン投資法人の価格推移
日付 始値 終値
7月2日 13万100円 12万9,200円
7月3日 13万500円 13万3,200円
7月4日 13万3,000円 13万2,000円
7月5日 13万2,200円 13万3,500円
7月8日 13万2,800円 13万1,800円
7月9日 13万1,500円 12万8,200円
7月10日 12万9,900円 12万9,500円

つまり、7月10日の受渡日の前日までのどこかでカラ売りを行い、受渡日以降に反対売買等の決済をすれば確実に、サヤというか、利益を計上できることになります。

具体的な計算は、次のようになります。

7月2日に証券会社から公募株式10株の配分連絡あり
7月3日の始値13万3,000円で公募獲得分10株をカラ売り
7月10日の始値12万9,900円で決済

☆公募獲得分 12万9,900円×10株-12万6,616円×10株=3万2,840円
☆空売り決済分 13万3,000円×10株-12万9,900円×10株=3万1,000円

トータル6万3,840円の利益(手数料・税別)となることが分かるでしょうか。

既にカラ売りでヘッジして、利益を確定していることになりますから、基本的には10日の受渡日の株価がいくらになろうが、利益は一定になります。

仮に10日の始値が12万5,000円という、俗に言う公募割れとなった場合には、公募獲得分は△1万6,160円になりますが、カラ売り決済分8万円となりますから、結局のところ、トータル6万3,840円の利益は変わることはありません。

なお、カラ売りにあたっては売買手数料が掛かります。さらには一般信用取引以外でのカラ売りとなれば、高額な逆日歩が掛かる場合がありますので、当然のことながら、少しでも高値でカラ売りをする方がいいのですが、さすがに、この高値をいつ付けるかは知る由もありませんので、そのあたりの対応は不可能だと思っております。

ユナイテッドU(8960) 日足3カ月

ユナイテッドU(8960) 日足3カ月

ちなみに、ここ1年ぐらいは地合いが強いので、この事例のユナイテッド・アーバン投資法人のように、株価が公募価格決定日以降も高値圏で推移することも多いのですが、一般的には希薄化を嫌がり、公募価格まで下がることが多く、場合によっては、公募割れといった公募価格を下回る銘柄もあります。証券会社から獲得できる配分数を読むことができるのならば、統計的に公募価格は初日に決まる例が多いことから、基準価格の決定予想日の初日(この場合であれば7月2日)の引け成りでカラ売りをするのが安全策です。

と言いつつも、私自身は、獲得予想株数が読み切れなかったり、価格決定日の翌日以降も堅調な株価で推移する銘柄が、ここ最近は多いので、基準価格の決定予想日の引け成りでのカラ売りは、実施していません。

なお、公募株式の応募の競争率につきましては、ここで記載した鉄板的なトレードができる信用取引でカラ売りができる貸借銘柄と、信用買いしかできない銘柄とでは、10倍くらいの差があるというのが実態です。

しかし、この鉄板と言われている手法について、2011年8月に公募増資に関連するカラ売り規制がかかります。そのあたりの内容と対応策につきましては、また次回に掲載したいと思います。

JACK(ジャック)とは…
個人投資家。バーテンダー、予備校講師、公務員、サラリーマンと多彩な職歴を歩む傍ら、IPO(新規公開株)で一気に長年の含み損を一掃し、1億円超の資産を築く。現在は、株式投資の大勝負やバブルのタイミングを待ちつつも、不動産投資やFXに開眼。寝る時間を惜しんで必殺技を模索中。株式・不動産を含むあらゆる投資領域において、今後どのような投資法を発掘するかが非常に注目されている投資家である。2012年3月30日、4冊目の投資書籍「サラリーマンの月収をらくらく20万増やす方法」(ごま書房新社・税込1,575円)発刊。
JACKのHP株式のブログ不動産とFXのブログを運営。
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