取材の現場から 薬のネット販売は効能不十分 効果はケンコーコム株価上昇

セクター 取材の現場から 連載


ケンコーコム(3325) 週足

ケンコーコム(3325) 週足

アベノミクス「第3の矢」のサプライズはいまひとつだった。発表会見時点から株価も下がり、マーケットの失望が如実に表れた。

「それもそのはずで、目玉が薬のネット販売なんだから。最高裁が全面自由化の判決を出しているのに、どう規制を加えるかを議論していた。まやかしの規制緩和だ」(経産官僚OB)

薬のネット販売は2009年に、第一類と第二類医薬品が禁止された。これに対しケンコーコム(3325・東マ)とウェルネットが行政訴訟を起こし、楽天(4755・JQ)ヤフー(4689)もネット上で100万件以上の署名を集めて援護射撃。結果、今年1月13日に最高裁がネット販売禁止は違法との判断を出し、ケンコーコムは同日午後から、第一類と第二類のネット販売を再開した。

その時点で100%解禁のはずなのに、改めて「成長戦略」として議論をやり直していたわけだ。

一方で厚労省は、「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」を2月に立ち上げ、何としても規制を残すべく行動を開始。5月31日に検討会は両論併記の報告書をまとめ、結論を先送り。最高裁判決から見れば、明らかな後退だった。だからこそ、第3の矢による100%緩和をネット業界は期待したが、第一類の25品目が除外され、満額回答とはいかないようだ。

そもそも、薬のネット販売はアベノミクスが掲げるデフレ脱却や景気回復に資するものなのだろうか。ネット販売を解禁しても、大勢の国民が薬を、がばがば飲むようにはならないから、薬の増産にはつながらず、雇用増効果は期待できない。ネット業界はもうかるが、ドラッグストアは売り上げを奪われ、雇用悪化の可能性もある。ネット販売は価格が売り物だから、物価上昇にも逆行するかもしれない。

自民党自身もそう主張している。支援組織である日本薬剤師会の手前、ネット販売解禁には消極的だからだ。参院選を重視する議員らは、「ネット販売は景気に役に立たない」とアピール。

一方で、アベノミクスで選挙を戦いたい議員は、ネット販売を自民党の実績として掲げたい意向を主張。内部がもめている。

自民党のネット販売解禁に反対する陣営からは、次のような声も上がっている。

「ネット販売が話題になったのは、楽天の三木谷社長があおったからだ。結果、子会社のケンコーコムの株価は急上昇。何だかんだ言って、楽天が一番得している」。

マーケットがしらけるのも、無理もない。

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