医療保険会社の最大手ウェルポイント(WLP) オバマ大統領の医療改革で着目

今注目の米国株! 連載


米国株式市場は相変わらず堅調である。過去数カ月はマクロ指標悪化が見られているものの、金融緩和継続を背景とした金融相場が続いている。最近は連銀による資産購入規模縮小が視野に入ってきているにもかかわらず、市場はほとんど気にしていない様子である。

しかし、企業業績による改善はいまだ見られておらず、年初からの株高が実体経済を反映したものだとは思えない。過去2週にわたってご紹介したウォーレン・バフェット氏の師であるベン・グラハム氏は、“短期的な市場は美人投票だが、長期的には計量器である”と述べている。

企業の株というのは、短期的には市場のセンチメントに左右されるが、長期的にはその業績を反映して取引されるということである。マクロ環境、企業業績に改善が見られない中で、市場の上げムードを追っていくのは非常に危険である思う。

市場全体に関しては慎重な見方を維持したい。さて、本日はそのような長期的な見方からお勧めしたい銘柄、ウェルポイント(WLP)をご紹介する。同社は医療保険会社の最大手であり、オバマ大統領による医療改革の影響が最も予想されるセクターに属している。

一般的な議論としては、この医療改革により消費者の保険カバレッジ増加が利益率低下につながるという懸念がある。これまでは、過去に多くの医療記録がある消費者は保険金リスクが高いとして、保険加入を拒むことができたものの、今回の医療改革法案ではこれが認められなくなった。

医療保険というのは規模の経済が利く事業モデルではあるが、過去に病気がちであった消費者、または保険に加入できなかったような低所得者を中心とした被保険者の増加により、ボリューム上昇による恩恵が利益率圧迫で相殺されしまうという懸念である。

しかし、注目したいのは医療保険事業のプライシングが市場動向だけでは決まらないということである。医療保険に対するプライシングは毎年政府が決定しており、医療保険各社は価格上昇に向けさまざまなロビー活動を行っている。

先日、高齢者向け保険のメディケア(MA)の2014年価格が発表されたが、過去に出されていた暫定のものから、最終プランではより高いプライシングが認められた。米政府は国民皆保険の実現を狙っている一方で、医療コスト低下という大きな課題に直面している。

ウェルポイントのような医療保険会社は、これを達成できる唯一の存在である。同社は医薬品会社、病院、薬局などの間に入り、より安価な薬品をそろえた処方箋リストの作成を行うなど、医療コスト低下に向けた存在意義は非常に高い。政府が絡むことで価格付けに対する裁量は存在しないように見えるが、政府は医療保険会社にとって不利なプライシングをすることは得策でないことは承知している。

また、オバマ政権の医療関連アドバイザーは医療保険会社からの出身者が多く、こうした政治的な背景も上記のMAプライシングが最終的には保険会社にとって有利に働いた要因の1つであると推測される。コスト増加懸念は今後も聞かれるであろうが、業界最大手の一社である同社はその規模を生かし、中長期的にはしっかりとキャッシュフローを生んでいけると予想する。

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