深層を読む 選挙後の「方針」提示を注視 最大公約数は金融緩和圧力 資金の流れ、一気に変化も

【深層】を読む 連載


今年もあと残り1カ月を切ってきた。年末が押し迫る中、衆議院の解散をきっかけにして上昇した日本株市場だが、これは素直に現状の閉塞(へいそく)感からの脱却を期待した動きだったと理解できる。先行きが見えない時には、相場は停滞することが多いが、前向きな変化を期待する場合には、素直に明るい将来を想定して動くことも多い。これが今回の上昇の心理だったと考えている。問題はこれからだ。変化への期待感は投票日まではある程度続くと考えられるが、比重は、より現実的な結果を見据えた格好にならざるを得なくなる。結果が日本経済にどういった影響を与えるか、そして相場に、どういった影響を与えるかを吟味する時期に入る。

今回は第3極と呼ばれる新しい政党が乱立気味に、いくつも誕生したこともあって、単純な第1党を競うだけの選挙ではなくなっている。また、各党ともに、はっきりとした究極的なテーマが存在するのではなく、論点が見えるようで見えない、妙にもどかしい印象がある。さらに、政策主張がはっきりしていても、その政策に現実味があるのかどうか、さらにある程度の人数を確保して政策を実行するだけの力があるのかも、ある程度予想し、そして先読みする必要が出てくる。投資家として、この辺をどう読むのか、今回の選挙は、かなり難しい。日本国民として見ても理解が難しい印象が強いのだから、日本株市場を取引する海外投資家からすると、余計に物事が分かりにくくなっているのは想像に難くない。そうなると、時期が時期だけに、もう少しはっきりとした根拠のある数字でも出てこない限り、無理してポジションを先走って作る必要はない、という結論に傾いても不思議ではないだろう。

その一方で、読める部分から手をつけて先回りしていく、という考え方も出てきそうだ。つまり、各党の政策を考慮しつつ、結果を類推するに従って、ある程度、共通する政策も見えてくるからだ。その1つが、「デフレ脱却」という錦の御旗の下でプレッシャーが強まる金融緩和だ。もちろん金融緩和だけでデフレ脱却できると考えるほどナイーブではないが、選挙の結果がどうであれ、新しい政権において、政治的に金融緩和のプレッシャーが高まることは間違いないだろう。相場は既に、その方向を織り込む格好で動き始めているが、一方で、長年に渡って金融緩和政策が実施されながら、結局デフレ脱却の気配さえも見えない現実も存在しているので、その効果に対して半信半疑の空気も強い。この辺のバランスを、相場としてどう織り込み、期待感を高めていくのかは、これから実際の投票日にかけての注目点になると考えている。日本株市場のかなりの部分は外国人投資家が支配している。そのため、海外投資家が「理解しやすい」格好で方針が示されるような局面があれば、一気に資金の流れが変化する可能性も否定できない。一方で、選挙の結果では何も変わらないといった失望感が広がる可能性も十分にある。何も起こらない場合を含めて、投票日に掛けて、気を抜かずに相場に対処したい。

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