シスコ・コープ(SYY) 強固な配送網で低コストを実現

今注目の米国株! 連載


ここ数週間における米株式市場では、奇妙な現象が見られている。

短期的な株価調整を想定している投資家は多いものの、株式指数は上昇基調を維持している。相対的なパフォーマンスを求める投資家、特に短期的なリターンを追及するヘッジファンドなどは、このような市場環境下ではパフォーマンスを悪化させないためにポジションをロング(買い)にするしかない。つまり、“買わされている”のである。

足元のマクロ景況感や企業業績などを考慮すると、やはり短期的な市場に対しては慎重な見方を継続したい。米国市場では〝5月売り”という言葉が聞かれるが、今年は特に警戒したほうが良さそうである。

こうした中、今回お勧めしたい銘柄はシスコ・コープ(SYY)である。通信機器を扱うシスコ・システムズ(CSCO)ではなく、こちらは食品配送業者である。同社の顧客数は40万以上に上り、その配送先はレストランを中心に、病院、学校、ホテルなどを含む。

同社の強みの1つは、以前ご紹介したペプシコ(PEP)と同じように、既に確立された、競合が簡単にまねのできない強固な配送網にある。この広範な配送網により、同社は小規模の競合社よりもコスト水準を低くすることができているのである。

また、同社は個人経営のレストランなどに対してコンサルティング・サービスなども提供しており、同社との関係に大きく依存している顧客は多い。過去数年、同社は素材コスト上昇を背景に利益率低下に苦しんできた。しかし、直近数四半期の決算を見ると、このコスト増が同社業績にとって理想的な水準である「プラス2.0からプラス3.0%付近」にまで低下してきている。

米国の消費環境が低迷する中、これまではレストランなどの顧客に対して価格引き上げを要求することは難しかったものの、雇用環境回復などを背景に、中期的な事業環境は改善してきているとみられる。また、同社は全社ベースのコスト水準引き下げを目的に、サプライチェーン改善などに対する投資を積極的に行っており、これも過去数四半期の業績足かせとなっている。数四半期前には、これらプロジェクトの施行が遅れているとのネガティブな経営陣コメントも聞かれたものの、最近では徐々にエグゼキューション改善がみられているようである。

株価は2012年の夏場から上昇基調となっているものの、これらの個別材料に市場比較では出遅れ感がある。市場による調整が視野に入る中、これまで足かせとなっていた個別材料の改善が、株価のさらなる押し上げ要因となる可能性は高い。

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