J-REIT高騰に「3つの背景」 個人と法人が公募玉争奪?!

夕凪所長のイベント投資100% 連載


東証REIT指数金利低下で分配金アップも

昨年末あたりからJ-REITの価格上昇が目立つ。日々高値を更新し続けている。「昨日の高値は今日の安値」のような雰囲気があり、上昇に安心感がある。

今年1月に新規上昇したコンフォリア・レジデンシャルは募集価格55万円に対して初値60万7,000円。同時期に新規上場した日本プロロジスリートも募集価格55万円に対して初値70万円。いずれも募集価格を大きく上回った。その一方で昨年11月に新規上場した大和ハウスリートは募集価格50万円に対して初値50万4,000円と、辛うじて募集価格を上回る程度であった。

募集価格と初値がほぼ同じだった昨年11月。初値が募集価格を大きく上回った今年1月。この2カ月間にJ-REITに何が起こったのであろうか。「アベノミクス相場に乗った」と言ってしまえばそれまでではあるが、大きく3つの要素があるのではなかろうか。

(1)国債利回り低下による機関投資家の運用難。

日銀の黒田総裁は長期の日本国債を買い入れ対象にすることを明言している。これによって長期国債の利回りが大幅に低下し始めた。これで困るのは国債の金利で運用している金融機関等の機関投資家である。目標としている運用益が出せなくなるのだ。この場合に彼らが取るだろうと思える選択肢が2つある。1つ目はレバレッジをかけてさらに国債を買うことである。2つ目は他の利率の高い安全性のある商品を買うことである。J-REITはこの2つ目の選択肢に適した商品と言える。実際彼らがJ-REITを買っているのではないかと思える事象が発生している。個人投資家へのJ-REITの公募増資の配分が以前に比べて大幅に減っているのだ。証券会社に応募しても1口も配分されないことがある。担当者の話では「大口の応募が入っている」とのこと。国債の運用に困った機関投資家が、一部の資金をREITに振り分けているのではなかろうか。

(2)J-REIT所有物件の価値向上期待。

最近、東京ドーム、東京都競馬など、含み資産系の株価上昇が激しい。J-REITについても物件にもよるが、含み資産系としての期待ができる。この分も含めて再評価しているのではなかろうか。

(3)J-REIT借入金利の低下期待。

J-REITは資金効率を上げるために銀行からの借入資金を活用している。この借入資金の金利を下げることができれば配分余力が増す。インヴィンシブル投資法人は2012年12月期の決算説明会の資料で、そのシミュレーション結果を公表している。現行金利で8.5-9.5%で借りている金利を2.0%まで落とすことができれば、半期で1口あたり236円プラスと、年4%以上の利回り向上が得られるようである。長期金利の低下と所有物件の価値向上による借入金利の低下期待でも買われているのではなかろうか。

今後のJ-REITについてであるが、まだ価格上昇余地があると考えている。06年後半から07年前半に発生した上昇期の再来である。最終的には長期金利とJ-REITの予想利回りが近い所までいくのではなかろうか。何度か急落が発生するであろうが、その都度日銀が買い入れを行ってくれている。国の補助輪つきの上昇である。

長期金利とJ-REITの利回り差があるうちは、J-REIT銘柄とうまく付き合っていきたいものである。

戻る