特報 半年間で日経平均1.4倍の裏で パフォーマンスに明暗の建築・土木銘柄 佐藤渡辺2.4倍、スーパーゼネコンは低迷

セクター 特報 連載


2012年9/28から2013年3/15までの株価変化率
コード 社名 9/28(円) 3/15(円) 変化率
1807 佐藤渡辺 134 329 245.5%
5921 川岸工業 171 408 238.6%
1882 東亜道路工業 188 358 190.4%
1808 長谷工 50 89 178.0%
5280 ヨシコン 416 740 177.9%
1813 不動テトラ 105 185 176.2%
1720 東急建設 146 226 154.8%
1726 ピーアールHD 163 252 154.6%
1833 奥村組 257 396 154.1%
1821 三井住友建設 49 75 153.1%
5262 日本ヒューム 369 564 152.8%
1884 日本道路 277 418 150.9%
1835 東鉄工業 993 1,489 149.9%
1861 熊谷組 70 103 147.1%
1871 ピーエス三菱 330 480 145.5%
1805 飛島建設 75 108 144.0%
1719 ハザマ 163 232 142.3%
5918 瀧上工業 216 305 141.2%
日経平均 8,838 12,434 140.7%
1865 青木あすなろ 398 555 139.4%
1820 西松建設 120 167 139.2%
1875 青木マリーン 201 274 136.3%
5911 横河ブリッジ 570 776 136.1%
1802 大林組 356 471 132.3%
1844 大盛工業 19 25 131.6%
1881 NIPPO 905 1,174 129.7%
1883 前田道路 1,019 1,320 129.5%
5923 高田機工 157 203 129.3%
1822 大豊建設 88 111 126.1%
1848 富士ピーエス 163 205 125.8%
1812 鹿 島 213 264 123.9%
1414 ショーボンド 2,725 3,365 123.5%
5273 三谷セキサン 603 742 123.1%
1799 第一建設工業 720 884 122.8%
1803 清水建設 263 317 120.5%
1801 大成建設 224 264 117.9%
5915 駒井ハルテック 206 240 116.5%
5912 日本橋梁 262 299 114.1%
1793 大本組 339 384 113.3%
1815 鉄 建 106 117 110.4%
1762 高松G 1,406 1,505 107.0%
1869 名工建設 440 465 105.7%
1824 前田建設工業 372 389 104.6%
1860 戸田建設 235 227 96.6%

3月に入り、日経平均株価が1万2,000円台を回復、3月15日金曜日には1万2,500円を超える場面もあった。同日における日経平均終値は1万2,434円、半年前の2012年9月28日終値は8,838円だ。半年弱で日経平均は1.4倍に上昇したことになる。

こうした中、公共工事の復活で建築・土木銘柄が市場全体の底上げに大きく貢献していると、漠然と考えがちだが、各銘柄別に見てみると、案外各銘柄ごとに明暗が分かれている。

別表の一覧は、建築、土木、コンクリート関連の銘柄をランダムにピックアップし、昨年9月末時点と先週末時点の株価を比較してみたものだ。全ての建築、土木、コンクリート関連銘柄を網羅しているわけではないので、その点はご容赦いただきたい。

2.4倍という驚異的なパフォーマンスを示した佐藤渡辺(1807)は、旧渡辺組と佐藤道路の統合会社で、道路舗装工事の中堅だ。東北の復興関連需要で年商は410億円(2013年3月期予想)と、前期比1割増だが、営業利益が前期比1.7倍の15億円を見込む。東亜道路工業(1882)も道路舗装工事の大手。2013年3月期は1.7%の増収ながら営業利益は2割増を見込む。

ヨシコン(5280)はもともとはコンクリート二次製品メーカーだったが、今ではマンション分譲と不動産開発、賃貸管理が主力。営業利益の大半を不動産事業で稼いでおり、かつての本業の貢献度はごく一部。静岡東部での災害復旧工事や浜岡原発の津波対策工事などで生コンの納入が増えたとはいえ、公共工事の増加期待で株価が上昇したわけではないのかもしれない。

一方、下水道向けヒューム管首位の日本ヒューム(5262)は2013年3月期の営業利益予想が前期比1.6倍。

不動テトラ(1813)は地盤改良に強く、防災、減災関連の受注増に期待しての上昇だろう。奥村組(1833)も免震技術やトンネル施工技術に定評があるので、笹子トンネルの事故で顕在化した、老朽インフラの潜在的な補修需要が追い風になっているのは間違いない。三菱マテリアル系でコンクリート橋梁(きょうりょう)の大手・ピーエス三菱(1871)も橋梁の補修需要の大幅な増加が期待される銘柄だ。

鉄骨・橋梁中堅の瀧上工業(5918)も2013年3月期は2期連続で営業赤字になるが、老朽インフラの補修需要増による来期の黒字転換期待から買われている銘柄だ。

このほか、横河ブリッジ(5911)、日本橋梁(5912)も補修需要増を材料に買われている銘柄ということだろう。

JR東日本の軌道敷設や駅舎の建設工事に強い東鉄工業(1835)も、2013年3月期は営業減益予想だが、鉄道の耐震補強工事やホームドアの設置工事の増加で増益が期待されている。

対照的なのはスーパーゼネコン4社。大成建設(1801)は半年間で17%しか上昇していない。EBITDA(償却前営業利益)の10倍近い有利子負債があるなど「財務体質の悪さが嫌われる原因」(証券アナリスト)だという。

鹿島が23%、大林が36%、清水が20%と、いずれも日経平均の伸び率を下回る。

「公共事業予算はあくまで必要最低限の公共インフラ投資に付くだけで、新たな不要不急の箱物建設にまでは付かない。そんなことをしたら、たちまち有権者が離れることは自民党も理解しているから、スーパーゼネコンのフトコロが潤うほどの効果は期待できないことを、市場は冷静に判断している」(同)ことを株価は反映しているようだ。

著者紹介 伊藤 歩(いとう あゆみ)
ノンバンク、外資系金融機関など複数の企業で融資、不良債権回収、金融商品の販売を手掛けた経験を持つ金融ジャーナリスト。主な著書に「TOB阻止 完全対応マニュアル」(財界展望新社刊)
戻る