取材の現場から ローソン(2651)は国の政策に協調してきた企業 賃上げ費用は約5億円

取材の現場から 連載


ローソン(2651) 週足

ローソン(2651) 週足

ローソン(2651)が「賃上げ」を発表。子育て世代の年収を3%引き上げるという。アベノミクスで円安と株高は進んでいる。ここで消費者の収入が増えれば、内需拡大の起爆剤となる。

このローソンの方針への評価は、軒並み好意的だ。麻生財務相は「1社でもこういった形が出てくるというのはいい傾向」と述べ、甘利経済再生担当相も「日本経済の先行きを明るくするとてもいい材料」と歓迎した。

ちょうど春闘が始まり、賃金交渉が行われている。安倍首相は2月12日、経済3団体のトップを官邸に呼び、賃上げを要請した。ところが、3団体の反応は渋いものだった。その分、ローソンの英断が際立つ形にもなった。

しかし、永田町関係者は「ちょっとデキレースのにおいがする」という。「ローソンの新浪剛史社長は、甘利氏と関係がいい。というのも、新浪さんの父は横浜や川崎で港運業を営んでいて、地元の港運協会の幹部だ。だから自民党とは昔から付き合いがあるし、お互い一緒にサケを飲むような関係だ。だから今回は、甘利氏のために新浪さんが力添えしたとみるべきだ」(同関係者)

実際、賃上げは2月頭の会食時に新浪社長が「先行して我が社がやります」と言ったことが発端だったと甘利氏は認めている。

もともとローソンは、民営化した日本郵政と提携を結ぶなど、国の政策に協調してきた会社。親会社の三菱商事が国策会社だから、政府方針と歩調を合わせることも可能なのだろう。

今回の賃上げは、ローソンにとってデメリットは少ない。賃上げはローソン本体と「ローソンストア100」を運営する九九プラス、チケット販売とCDチェーン「HMV」運営のローソンHMVエンタテイメントの3社。賃上げ対象となる社員数は合計3,300人で、その平均年収は500万円。だとすれば、賃上げ費用は5億円程度。内部留保(利益剰余金)1,072億4,900万円から拠出するというから、原資は十分だ。

業績も10期連続最高益の見通し。今回の賃上げ宣言はニュースで何度も取り上げられ、今後もアベノミクス関連報道で繰り返されるだろう。宣伝費だと思えばその支出も合理的といえる。ちなみにローソン本体の年間宣伝広告費はおよそ120億円。また、賃上げと言うが、実際は一時金。ベースアップではないので、景気が上向かねば元に戻せばいい。

このように新浪社長が甘利大臣の関係を基に、ローソンと国が「ウィンウィン」となる発想で打ち出したものだったのだ。

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