取材の現場 ホンダ下方修正、再起の指揮は誰が

取材の現場から 連載


日米で取り戻すべき信頼

N-WGN Custom(ホンダHPより)

N-WGN Custom(ホンダHPより)

ホンダ(7267)が第3四半期決算を発表。今期の利益予想を下方修正した。日本と中国の自動車販売が不振だったことが要因とされるが、そのマイナス分は円安効果で補っており、減益の本当の理由は、品質関連費用の増加だ。米国でのタカタ(7312)製エアバッグのリコール問題が響いた形となった。

米国でホンダは、事故情報の報告を怠ってきたとして、NHTSA(米道路交通安全局)に7,000万ドルの制裁金を支払った。こういう費用も業績を引っ張っているという。

「制裁金は、額は大きいがカネで解決できるもの。今のホンダは、米国民の信頼を失ってしまったという損失の方が甚大だ。これはカネでは解決できない。ホンダ自身が身をもって品質問題を解決させ、それを米国民に理解してもらわねばならない。これが、ホンダが乗り越えねばならない課題だ」(アナリスト)

品質問題は、米国だけで生じているわけではない。日本でも、フィットハイブリッドの5度にわたるリコール問題がある。リコールを繰り返すということは、不具合を即座に解決できなかったということ。開発力、技術力の問題を如実に示すものである。

ホンダ(7267) 週足

ホンダ(7267) 週足

不具合の解決に手間取り、新車発売計画も大幅に狂ってしまった。今期は6つの新車を予定していたが、発表できるのは4車種にとどまることとなった。

これら品質問題の責任は、伊東社長にあるとの見方が強い。伊東社長は、2016年度に世界販売台数を600万台にするとの目標値を打ち出した。その数値にあおられ、新車開発がおろそかになったのではないかと指摘されている。

「伊東社長は今回のことがなければ、ホンダの中興の祖と位置付けられたかもしれない。業績を伸ばし、Nシリーズといったヒット車種も出したが、今回の件でミソをつけた。場合によっては、信頼感を取り戻すために自ら〝腹を切る〟可能性もなくはない」(自動車担当記者)

一部報道では、ホンダ元社長が伊東社長に苦言を呈したとの情報を伝えている。

伊東氏の後継者には、野中俊彦常務執行役員の名が挙がっていた。しかし、現在のホンダは伊東―野中体制で運営されているため、伊東社長の引責なら野中氏は後継に適切ではない。

「今、社長交代が行われるのであれば、品質担当になった福尾幸一取締役専務執行役員が注目されている」(前出・記者)

ホンダは例年、2月下旬に来期の役員体制を公表するのが慣例。現時点では、社長交代に関する情報は伝わっていないが…。(本紙2月9日付14面)

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