【深層】を読む 本当は怖い“順風満帆”相場

【深層】を読む 連載


コンセンサスとのズレ把握

この3カ月、日経平均は日々ではかなり大きな振れ幅をもちながらも、1万7,000円を割れたら比較的すぐに戻るし、かといって皆が期待している1万8,000円を保持できないという、何とも上にも下にも煮え切らない展開が続いている。世界情勢はプラス側にもマイナス側にも何かと振れていることから、オーバーナイトでは上下に振られることが多いが、例えば1週間を平均して眺めてみると、意外に堅調だったり、意外に上値が重たかったりと、方向性が見いだせない状況が続いている。

長年の経験からすると、相場に問題がなくて順風満帆と感じられる相場の方が実は怖い。どんな相場でもさまざまな問題を内包しており、一見、順風満帆に見えるのであれば、それは、リスクをきちんと認識できていないことを意味するからだ。何か突然の動きが起こると、「想定外」の嵐となり、何も防御策を講じていなかった投資家は、あっという間に撤退への道をばく進することとなる。慌てて下す判断は、ほぼすべて間違いで、往々にして傷を深くするだけの効果しかもたらさない。一方、相場にかかわるいろいろな悩み事が、あれでもないこれでもないと語られているときは、それなりの警戒感が投資家のマインドに居座っているので、何か予想外の悪材料が噴出してきても、それなりの落ち着きを持って対応できるのも事実だ。

ただ、慎重な考え方そのものが、相場の勢いに乗る足かせとなり、壮大な上昇相場(もしくは下落相場)に乗り切れないという現象を引き起こすのも事実だ。資産を何倍という単位で成長させるには、それに見合った相場環境が必要だ。そして、それに乗り切る勇気、決断力といった能力も必要だ。石橋をたたいて渡っているのでは、どれだけ壮大な相場があっても、資産を大きく増やすチャンスを逃しているだけになってしまう。

この辺の判断は、投資家として、どうやってつけるのであろうか? ある意味では、永遠に答えの出ないテーマだが、筆者が考えるところでは、やはり市場全体のコンセンサスと自分の考え方を常にチェックし、そのずれを把握しておくことが肝要だと考えている。自分の立ち位置、座標軸をきちんと認識し、市場のコンセンサスがどの辺にあるかを把握することだ。これにより、自分の考え方が市場コンセンサスとどの程度ずれているのかが分かり、それは自分が取っているリスクを把握するのに役立つ。さらに、コンセンサスと一致するのが良いのではなく、コンセンサスとのずれに収益の源泉が潜んでいるのではないか、と考えてその原因追及を考える心構えが大切だと考えている。

取ったリスクが割に合うか

相場の達人と言われる人でも、相場に対して正解率が6割もあれば、「超人レベル」だろう。普通の人がやれば、良くて四分六分、感情に振られやすい人なら、成功率3割・失敗率7割は決して珍しくない。自分が「天才」と固く信じ込むことができる根拠を持っている投資家以外、ひとまず、自分が「普通」と想定する方が安全だ。そういった中で、コンスタントに利益を積み上げようとするならば、「どうやって損切りを小さくして、利食いを大きく伸ばすか」が要点となる。筆者が考えるに、自分の考え方と市場コンセンサスのずれを常にチェックし、そこに思わぬリスクの芽が潜んでいないか、逆に収益の芽が潜んでいないかを考えることが役立つ。そして、自分の取っているリスクが割に合っているのかどうかを、常にチェックする心を持って欲しい。買いポジションを塩漬けにしている場合など、特にこの検討プロセスが必要になるし、それを乗り越えてこそ、一皮むけた投資家になれるのだ。(本紙2月6日付12面)

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