特報 スカイマーク破たん 負債額は今後上積みか

特報 連載


オペレーティングリースを採用

1月28日、民事再生手続きの開始を申し立ててスカイマーク(9204)が破たんした。日本経済新聞が同日19時半すぎに速報を流して世間の知るところとなったが、同社が正式に開示をしたのは23時すぎ。この発表を受け、整理ポスト入りが決まり、3月1日付で上場廃止になる。

東証マザーズへの上場は2000年5月。当初はHISの澤田秀雄氏らの出資で設立されたが、競合するJAL、ANAが運賃の引き下げで対抗し業績が悪化。救済に入ったのがインターネットサービスプロバイダーゼロの西久保慎一会長。西久保氏の強烈な個性については、あえて語るまでもないだろう。

下の業績表は、スカイマークの設立から現在に至るまでの業績を集計したものだが、増収はすべて路線と機体数の増加によるものだ。

スカイマーク(9204) 日足

スカイマーク(9204) 日足

設立以来17期。営業黒字が出るようになったのはここ数年。しかし前期あたりから格安航空会社同士の競争激化で再び営業赤字に逆戻り。今期の期初計画は、問題のエアバス社からのA380の導入で、大幅な客数増を見込んでの予想だった。

ところで、リリースによれば、負債総額は710億円だというのだが、この額、昨年10月30日に開示されている2015年3月期中間期末時点の負債の部の合計金額である385億円の1・8倍以上だ。325億円も膨らんだ原因は、未経過分のリース料の一部を負債計上したことにある。

スカイマークが航空機を購入ではなくリースで調達していたことはメディアが報じているので読者諸氏もご存じだろう。そのために銀行とのリレーションもほとんど無かった。

実はリースにはファイナンスリースとオペレーティングリースの2種類がある。購入代金相当額をリース期間中に全額払いきるのがファイナンスリース。パソコンなどオフィスで使うOA機器はリース期間満了後にどこかへ転売できるかといえばそれは無理。対価を支払って廃棄してもらう世界なので、当然にファイナンスリースだ。

これに対し、リース期間終了後に中古市場へ物件を転売することを前提に、転売可能価格相当分を差し引いた残りの額に、必要経費や金利を乗せてリース料を決めるのがオペレーティングリース。

タクシー会社の車両ではオペレーティングリースが当たり前だし、航空機も中古市場があるので当然オペレーティングリースである。

以前はファイナンスリースもオペレーティングリースも、物件の所有権はリース会社にあるので、ユーザー側では資産計上せず、減価償却もしていなかったが、08年3月期以降はファイナンスリースに関しては資産計上するルールになった。

もっとも、スカイマークの場合は機体はほぼオペレーティングリースを使っていたので資産計上されておらず、有価証券報告書の欄外注記で、契約上の残リース料が開示されてきた。それが下の業績表の「未経過リース料」の「オペレーティング」の部分である。機体数の増加に比例してオペレーティングリースの残リース料が増加してきたことが見てとれる。

倒産すれば残リース料の支払いに関する期限の利益は喪失させられるので、その分をリース会社が一括請求して債権届け出をする。

とはいえ、オペレーティングリースの残リース料は昨年3月末時点で907億円もあり、4カ月で負債が325億円増えた理由としては説得力に欠けるので、その一部ということなのだろう。

ちなみに、エアバスから請求されている解約違約金の請求額は7億㌦、日本円にして830億円だが、253億円の前払い金を支払っており、これを差し引いても577億円にもなる。この解約違約金についてはかねて高額過ぎるとして減額交渉を行っていたわけだから、スカイマークとしては現時点では負債とは認識していないだろうが、今後の交渉次第ではこの分の一部が負債に上乗せされる可能性は残っている。

航空会社は負担が重い装置産業なのだということをあらためて認識させられる事案だ。(本紙2月4日付12面)

スカイマークの業績推移と株価指標

スカイマークの業績推移と株価指標(クリックで拡大)

著者紹介 伊藤 歩(いとう あゆみ)
ノンバンク、外資系金融機関など複数の企業で融資、不良債権回収、金融商品の販売を手掛けた経験を持つ金融ジャーナリスト。主な著書に「TOB阻止 完全対応マニュアル」(財界展望新社刊)
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