取材の現場から 武田薬品周辺で錯綜する情報

取材の現場から 連載


ウェーバー社長は移籍を否定

年明け、武田薬品(4502)が欧州の科学専門誌に発表した論文を撤回していたことが明らかになった。「理研の小保方事件を彷彿(ほうふつ)させる」と一部で話題になっている。化合物の選別方法や研究者の記載に不適切な部分があったという。

武田(4502) 週足

武田(4502) 週足

武田薬品関連の情報はそのほか、いろいろ伝わってくる。例えば、昨年発覚した疑惑がまだくすぶっている。高血圧治療薬「ブロブレス」の広告で、京都大学が行った臨床研究の論文と異なるグラフを使ったという問題。これが薬事法が禁じる「誇大広告」にあたるのではないかと指摘された。理研の騒動に加え、ノバルティスファーマの刑事告発の直後だったことから、マスコミはこの件に強く関心を持った。しかし、武田薬品は違法性についてはきっぱり否定している。

ちなみに、医薬関係者は、この件をさほど問題視していないようでもある。

「仮に意図的に効果をよく見せたのだとしても、副作用が出るわけではなく、思ったより効かないという程度。被害が出るものではない。マスコミはあおり過ぎ」(医大教授)。

自動車メーカーが、クルマの燃費を実際よりも良く表示した程度の問題という認識だ。確かにそうだけれど、褒められることでもない。

ブロブレスの問題で武田薬品は昨年6月、第三者委員会の調査報告を公表し、臨床試験への関与を認めた上で、データの捏造(ねつぞう)や改ざんはなかったとも発表。ただ武田薬品は、臨床研究を行った京都大学の研究センターなどに37億5,000万円の寄付金を支出しており、利益相反を指摘する向きもある。

そんなこともあり京都大学は9月、第三者委員会を立ち上げた。11月ごろに調査結果をまとめるとも伝えられていたが、いまだ途中経過も明らかになっていない。年明けには「2月にも京都大学が発表か」との情報も伝わったが、京都大学に確認したが、「発表時期は把握していない」(広報)とのこと。

さらに、「ここへきて、検察が武田薬品の捜査をしているといううわさが流れている」(外資系製薬メーカー)という話も伝わってきた。しかし、司法クラブ記者など複数に取材したが、「武田の件はもう調べていない」という。

どうもタメにする情報が錯綜(さくそう)している。最近では、武田薬品のウェーバー社長が、フランスの大手製薬メーカー、サノフィからスカウト要請があったことを認めたと報じられている。ウェーバー社長は、移籍を否定。この分では、武田絡みの怪情報はまだまだ続きそうだ。(本紙2月2日付14面)

戻る