取材の現場から 隠れた農協関連株だったが… オプトロム3月末に臨時株主総会

取材の現場から 連載


宙に浮く携帯電話販売事業

先週の佐賀県知事選で、自民推薦候補が落選した。安倍政権が規制改革の柱に据える農協改革に、農協自身がNOを突きつけたのだ。農協の影響力は衰えたと言われるが、まだまだ侮れないことを見せつけた形となった。

そこで農協関連銘柄だが、名証セントレックス上場のオプトロム(7824・名セ)という会社がある。同社はCDやDVDの製造会社だが、果樹農業の専門農協である日園連(日本園芸農業協同組合連合会)と組んで、「緑と大地の農援隊」という農業を応援するサイトを運営している。同サイトでは旬の果実などが当たるキャンペーンを展開しており、また昨年には任天堂(7974)と組んだプロモーション活動も実施した。

しかし、オプトロムの経営状況はめちゃくちゃだ。債務超過な上、今期は最終赤字を見込んでおり、上場廃止の危機にある。IR(投資家向け広報)を見ると、頻繁に新株予約権が行使され、昨年9月からは運転資金の借り入れも頻繁。資金の貸し手を見ると株主が多いようだが、中には役員の大学時代の同級生までもが貸し手に駆り出される始末。資金繰りは限界状態と言っていい。

ところが、そんな銘柄なのに9月半ばから出来高は増え、株価は上昇と下落を繰り返している。その理由は何か?

「虎の子の新規事業がある。農協ルートを通じて、全国の農家に携帯電話を販売するのだ。これによりオプトロムが事実上の、農家向け専門の携帯代理店となる。農業応援サイト事業は、その前さばきだった」(消息筋)

確かに9月には、ソフトバンクモバイル(ソフトバンク・9984)のトップ代理店であるテレコムサービス(光通信・9435)と「紹介店斡旋(あっせん)契約」を結んでいる。これが買い材料になっていたのだ。

しかし、内情は厳しい。例えば『四季報』を見ると、「農業関連の新事業成否のカギ握る涌井潤社外取締役が、2014年11月に辞任」とある。涌井氏は農業応援サイト立ち上げメンバーの一人で、オプトロムでは農業事業の担当役員。つまり、農協ルートの携帯販売事業のキーマンだった。この辞任は、経営方針をめぐる内部対立を示すもので、そのためなのか、紹介店の斡旋事業は進んでいない。

さて、オプトロムは3月末までに臨時株主総会を開く予定だ。債務超過や借金をどうするのか。そして、農業関連の新事業は果たしてどうなるのか。安倍政権の農協改革の行方とともに、こちらの方も気になる。

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