取材の現場から 精神疾患「うつ病」が重点疾病に

取材の現場から 連載


治療剤で持田製薬、明治HDなど

今年はアベノミクスの真価が問われる年になると言われるが、金融緩和や財政出動はもうやり尽くし感もあり、やはり第3の矢がどうなるかが重要だろう。農業や雇用、そして医療の分野をどう成長させるかだ。

持田製薬(4534) 週足

持田製薬(4534) 週足

医療については、厚労省の医療計画に昨年度から精神疾患が重点疾病に加えられ、がんや脳卒中、心筋梗塞と同レベルの対策を講じることとなっている。その精神疾患で注目できるのは、やはり「うつ病」。厚労省の調査によれば、1996年に43万人程度だった患者数は、2005年に92万人、08年には104万人と着々と伸びている。その背景には、「抗うつ薬の販路拡大を目指す製薬会社のキャンペーンが影響している」と多くの医療関係者は語っているが、いずれにせよ、成長分野には違いない。

抗うつ剤に熱心なのは、持田製薬(4534)。中期計画で「うつ病治療剤『レクサプロ』は早期に売上高を拡大し、日本での抗うつ剤のトップシェアを目指す」としている。明治HD(2269)傘下の明治製菓ファルマも「リフレックス」「デプロメール」といった医薬品を持ち、シェアトップを目指すという。「サインバルタ」を持つ塩野義製薬(4507)もある。

ただ、急に伸びた分野のため「誤診が多いのではないか」という声もある。

「うつ病は、双極性障害(そううつ病)との見極めが難しい。この2つの疾患は違う病気なので、治療方法も異なる。そううつ病患者にうつ病の治療を施すと、治らないだけでなく、場合によっては自殺に至る可能性もある」(医師)

日立(6501) 週足

日立(6501) 週足

警察庁の統計では、うつ病が原因で自殺した人は年間5832人。この中には、誤診のせいで亡くなった方も多いのではないかとみられている。

となると、治療薬より診断方法の強化が重要だ。うつ病診断ではヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(6090・東マ)が、血液検査で簡便に診断する方法を開発したというが、それよりも医療関係者が注目しているのは、「光トポグラフィ」だという。

先進医療の承認、診断技術は日立

光トポグラフィ技術は日立(6501)が開発した技術で、09年にうつ病の診断に使用する先進医療の承認を受け、今年度から保険適用となった。ところが、施設基準が厳しいため20数カ所の病院でしか保険が適用されないという。しかし、第3の矢の規制緩和で施設基準が緩和されれば、光トポグラフィ検査機の需要は一気に伸びる。うつ病診断の精度も上がる。安倍政権は、こうした成長戦略を断行できるか――。

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