【深層】を読む 「相場展望」がつまらない背景

【深層】を読む 連載


コンセンサス知るには意義あり

年初から期待に反してやや荒れ気味の相場展開となっているが、これは想定の範囲内だろう。楽な相場なんてこれまでもなかったし、これからもほとんどないだろう。今年も世界中のあちこちでいろいろと問題が沸き起こり、一方で期待の星が見えるという展開を予想しておいた方が良いと考えている。

年頭に際しては、さまざまなメディアが、いわゆる専門家や経済界の重鎮による、相場展開の予想や注目銘柄を提示するのが恒例となっている。多くの市場関係者にとっては、まともに受け取る話ではなく、年初の風物詩程度に受け取っているのではないだろうか。私も、何が書かれているかについて、ヘッドライン程度はチェックするが、深く読み込むことはほとんどない。私が若手だったころに、そういった相場予想や銘柄紹介の記事の原稿下書きを頼まれた経験がある。そもそも、一流会社や経済研究所などの経営陣は、専門的に手掛けている人や、派手な意見を表明することで名を売っている人以外は、もっとほかに仕事があり、相場予想やら銘柄紹介などは、経営者としては、かなり優先度の低い仕事になる。だから、若手社員に丸投げして原稿を作ってもらい、それを大体においてそのまま使う、という格好になる。

一方、原稿を書かされる若手社員にしては、自分のボスが笑われるような原稿を書くワケにはいかないので、どうしても当たり障りのない文脈になる。突拍子もない意見は抑え、市場のコンセンサスに沿った格好での相場予想を中心に、多少、冒険したとしても、せいぜい味付けを加える程度になる。要するに、突出し過ぎない意見を書くこととなる。だから、どの人物の意見を読んでも、面白みに欠けるのだが、背景を考えれば当然と言えば当然だろう。

ただ、市場参加者としては、これらは市場のコンセンサスを知るのには、それなりに役立つ。経済界や専門家と呼ばれる人々が、現時点で何に注目しており、何を心配しており、何に期待しているかが、見えてくるからだ。原稿が書かれたのは掲載される1―2週間前だろうから、その時点から見通せる範囲に限っての話が中心となる。つまり、現在起こっていることで、原稿に書いていないことは、「想定外」だった可能性が強いことになる。一方、その時点で見通せる好材料や悪材料については、ある程度相場に織り込まれていると想定することが可能だ。基本的に、「相場は予想されていることが起こっても大して動かない」のだ。

リスク認識し、座標軸再チェックを

市場参加者として大事なことの一つは、自分のスタンスというか立ち位置、座標軸をきちんと認識できているか、という点にある。専門的には、自分がどの程度のリスクを取っているかを認識する、という作業に落とし込むのだが、これは何よりも大事だ。相場において、往々にして大けがをする原因は、自分が認識できていなかったリスクで被害を受けたため、というケースが多い。「想定外」と言ってしまえばそれまでだが、自らが取っているポジションが何に対して脆弱(ぜいじゃく)なのかを意識できていなければ、その事態に対処できるハズもない。意識していれば、自分の意図した方向とは違った動きがあれば、ヘッジするなりポジションを解消するなり、それなりの手を打てるからだ。つまり、自分が取っている、抱えているリスクを認識する必要があり、評価し直す必要がある。そのためには、自分の座標軸が、相場全体に対して、どうずれているかを正確に認識する必要がある。その意味で、市場コンセンサスを知ることは、市場参加者として大きな意味があると考えている。

2015年の相場は始まったばかりだ。日々の動きに一喜一憂しているのではなく、常に自分の立ち位置を確認する作業を継続するクセを付けてほしい。

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