特報 池上通信機が発会高 過去と異なり業績回復が伴う

特報 連載


会社予想は保守的

2015年初日の日経平均株価は前日比0.241%ダウンの1万7,408円71銭という結果になったが、この日の騰落率トップはSEホールディングス・アンド・インキュベーションズ(9478・JQ)。前日比28.7%の上昇だった。以下、2位はデータセクション(3905・東マ)で26.4%の上昇、3位はホロン(7748・JQ)で23%の上昇。4位は池上通信機(6771)で22.1%の上昇、5位はUBIC(2158・東マ)19%の上昇。

トップのSE社は今期予想が営業減益だし、データセクションは上場したばかりであまりデータがない。3位のホロンはクリスマス前後から上昇が続いているので、本日は5日に突然株価が急騰した池上通信機を取り上げたい。

池上通信機(6771) 週足

池上通信機(6771) 週足

池上通信機は放送機材の老舗で、設立は1948年で上場は61年。当然主力取引先はテレビ局やその下請けの制作会社。テレビ局の予算が潤沢だったバブル期までは年間40億円以上の営業利益を稼ぎ出していたが、バブル崩壊後、テレビ局、特に地方局の予算が大幅に削減された影響をもろに受けた。

下の業績表の通り、98年3月期以降の17会計期間中、最終黒字は6期しかない。配当も98年3月期を最後に無配が続いた。放送機材の技術を生かした産業機器などにも進出したが、不採算部門からの撤退や工場閉鎖などで巨額の赤字が出たため、純資産の目減りも激しく、2011年3月期は54億円まで減ってしまった。

希望退職を経てようやく営業利益が黒字転換したのは12年3月期。売上総利益率が12年3月期実績でリストラ前の11年3月期に比べると5ポイントも改善するなど、リストラの効果は大きく、前期まで着実に営業利益が増加してきている。

今期前半は国内は放送機材がまずまずで、錠剤検査装置やセキュリティーカメラシステムなどが好調な一方、中国や韓国などのアジア地域への輸出が前年の反動減で大きく落ち込んだそうで、日本国内としては前年比2.1%の増収。一方、北米は放送用カメラが振るわず減収ながら、ヨーロッパの売上高が倍増したため、連結全体では前年比7.6%の増収で前半を折り返している。

会社側の通期予想は保守的で、現時点での通期予想は売上高が前期比1%増の260億円。営業利益は6億円と減益予想。営業利益率が前期比で0.7ポイント近く下がる計画だが、上期は前年に比べると売上総利益率が4ポイント改善、販管費率も1.7ポイント低下しており、赤字幅は3.7億円も改善している。

前期は4億円近い為替差益の発生で当期純利益を大きく底上げしており、これが今期は消滅するという前提なので、当期純利益は前期比4割減の6億円。

下期も上期並みの売上高の伸びが実現すれば、売上高は277億円くらいまで伸びる。営業利益率を前下期並みに確保できれば、通期の営業利益は13億円くらいになる。この営業利益が確保できれば、為替差益がなくても最終損益で前期並みを確保出来る可能性も出てくる。

今回の株価急上昇にあたり、特に材料は見当たらない。池上通信株は近年では11年3月の震災直前、13年5月初旬、14年1月中旬にこれといった材料がない中、株価が急上昇している。

12月中旬に発売された会社四季報では、会社計画営業利益を独自予想で2億円ほど引き上げているが、これに市場が反応した形跡はない。

ただ、過去の急騰時と異なり、今回は業績の回復が伴っている。この会社は毎年、第3四半期までが赤字で第4四半期で一気に稼ぐパターンが定着している。

とはいえ、第3四半期の進捗(しんちょく)が第4四半期の伸びを占う重要な指標になることは間違いない。

6日14時時点の株価は180円。この株価ベースでのPERは予想ベースで17.84倍でPBR(株価純資産倍率)は実績ベースで0.9倍。株価は既に上がり過ぎという判断もあろうが、この指標を前提にし、下期業績が上期並みのペースを確保できれば、理論的にはまだ余力はありそうだ。なお、第3四半期の短信公表は2月6日金曜日である。

池上通信機の業績推移と株価指標
売上高 営業
利益
経常
利益
当期
純利益
総資産 純資産 自己資本
比率
配当 期末
株価
PER PBR ROE
98/3 45,150 -721 -1,221 -2,084 49,099 27,525 56.1% 5.0 340 0.72 -7.6%
99/3 41,361 122 -461 -4,448 44,705 22,932 51.3% 312 0.79 -19.4%
00/3 38,795 371 -351 -371 41,868 22,560 53.9% 428 1.11 -1.6%
01/3 36,676 -870 -938 -10,236 37,526 11,770 31.4% 208 1.03 -87.0%
02/3 33,739 -677 -816 -3,947 31,731 7,787 24.5% 97 0.73 -50.7%
03/3 33,430 734 688 -117 29,929 7,600 25.4% 106 0.81 -1.5%
04/3 37,304 1,241 1,166 1,169 33,027 9,076 27.5% 249 12.39 1.60 12.9%
05/3 35,994 738 826 604 33,392 9,660 28.9% 264 25.38 1.59 6.3%
06/3 37,231 -184 -132 -199 35,254 10,213 29.0% 331 1.88 -1.9%
07/3 34,626 -242 -54 -120 34,167 9,844 28.8% 175 1.03 -1.2%
08/3 41,731 1,040 986 929 37,491 12,577 33.5% 146 10.29 0.84 7.4%
09/3 35,868 -681 -802 -908 34,347 11,074 32.2% 74 0.49 -8.2%
10/3 29,683 -2,694 -2,599 -3,743 32,752 7,246 22.1% 76 0.76 -51.7%
11/3 24,380 -1,562 -1,516 -1,578 28,782 5,402 18.8% 81 1.09 -29.2%
12/3 24,382 175 401 5,956 28,389 11,274 39.7% 60 0.73 0.39 52.8%
13/3 24,260 446 767 904 27,898 12,700 45.5% 73 5.85 0.42 7.1%
14/3 25,731 766 1,204 1,091 29,741 12,568 42.3% 2.0 110 6.52 0.52 8.7%
15/3予 26,000 600 700 600 2.0
※金額の単位は配当と株価のみ円、それ以外は百万円。PER、PBRは実績ベース

 

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