取材の現場から アイシンとシロキ事業統合の裏

取材の現場から 連載


トヨタの事業再編成 割を食うデンソー

アイシン精機(7259) 週足

アイシン精機(7259) 週足

トヨタ(7203)および系列部品メーカーで、事業の再編成が一気に進む。まず、子会社のトヨタテクニカルディベロップメントの車両開発機能をトヨタに統合。ディーゼルエンジン事業を豊田自動織機(6201)に、マニュアルトランスミッション事業をアイシン・エーアイに集約。トヨタは両社に事業を移管。デンソー(6902)アイシン精機(7259)のブレーキ事業は、アドヴィックスに移管。アイシン精機、シロキ工業(7243)、トヨタ車体のシート事業は、トヨタ紡織(3116)に移管する。それとは別に、アイシン精機とシロキ工業の事業統合も発表された。

「トヨタの研究開発は手いっぱいで、文字通り“猫の手も借りたい”状況。そこで、系列部品メーカーの事業を整理することで、トヨタグループ内で開発資源の効率化を図ろうということ。しかし、この判断は理屈としては正しいが、事業を手放す企業にとっては、トヨタに対する感情的しこりが残る」(自動車ジャーナリスト)

一連の事業再編を見ると、トヨタの好き嫌いが如実に表れているようにも見える。割を食ったのはデンソーだ。ブレーキ事業を召し上げられた形となってしまった。

ほかの再編には、トヨタの好意がうかがえる。豊田自動織機にトヨタはディーゼル事業を差し出したが、同社はトヨタの親会社のような存在で、会長にはトヨタ中興の祖・豊田英二氏の次男の豊田鐡郎氏が就いている。シート事業集約の受け皿となったトヨタ紡織も豊田佐吉に連なるトヨタの源流企業だ。英二氏の三男の豊田周平氏が社長を務めている。

デンソー(6902) 週足

デンソー(6902) 週足

さらにアイシン精機は、シート事業こそ紡織に差し出したが、ブレーキ事業を束ねる立場となった。ブレーキを集約したアドヴィックスは、アイシンの子会社である。ちなみにアイシンの会長は、やはり英二氏長男の豊田幹司郎氏。

アイシンは、シート事業をトヨタ紡織に取られたが、トヨタ向け以外のシート事業は温存した。シロキ工業と経営統合し、シート事業はシロキが継続する。両社の事業統合がこのタイミングで出たのは、アイシンのシート事業を維持するためとみてよいのかもしれない。

「トヨタがデンソーを厚遇しないのは、社長派遣を拒んでいるからだという説もある。ダイハツや日野自動車のように、デンソーにもトヨタから社長を送り込み、トヨタとの一体化を進めたい。デンソーが“豊田王国”入りを拒む以上、グループ内の事業再編で今後も、冷や飯を食う立場になるだろう」(前出・ジャーナリスト)。

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