取材の現場から 法人税減税メリットに強弱

取材の現場から 連載


与党の税制改正大綱30日メド

総選挙も終わり、これから年末にかけて税制改正が始まる。早速、選挙翌日の12月15日、自民党税調は非公式の会合を開き、与党の税制改正大綱を30日までに決めることを確認。また、22日の経済財政諮問会議で来年度の「予算編成の基本方針」を協議し、閣議決定する。

実効税負担率ランキング
LIXIL 5938 0.14%
JXホールディングス 5020 1.44%
伊藤忠商事 8001 2.12%
住友化学 4005 2.27%
日産 7201 3.47%
丸紅 8002 3.62%
アサヒグループHD 2502 4.96%
三菱地所 8802 5.08%
新日鐵住金 5401 5.37%
東レ 3402 6.09%
ホンダ 7267 11.53%
コマツ 6301 16.63%
日本郵船 9101 16.97%
コカコーラウエスト 2579 21.30%
タケダ 4502 25.25%
川崎重工 7012 25.94%
キヤノン 7751 26.49%
トヨタ 7203 26.77%
オムロン 6645 31.41%
JR東日本 9020 33.73%
三菱ケミカル 4188 37.06%
ニッパツ 5991 37.81%
サントリー食品 2587 40.99%
※経団連などの役員を務める企業で、赤字会社と金融機関除く

今回の税制改正の焦点は、やはり法人税減税だろう。政府は来年度2.5%引き下げる方向で調整に入っているという。この法人税減税は、かねてから経団連など財界が求めてきたもの。それに応える形で政府は減税を行う。

法人税は、1%引き下げるだけで3,900億円の歳入減となる。地方税分も含めると4,700億円に及ぶ。2.5%減税なら1兆1,750億円の歳入減だ。企業にとっては、この額が利益になるわけだからありがたい。

しかし、法人税減税は本当に企業にとってメリットが高いのだろうか。中央大学名誉教授の富岡幸男氏が9月に出した『税金を払わない巨大企業』という本によれば、多くの大企業は法人税をほとんど払っていないという。利益の何%を税金として支払っているかの比率である「実効税負担率」、つまり各社の正味の法人税率は三井住友フィナンシャルグループ(8316)が0.002%、ソフトバンク(9984)0.006%、ファーストリテイリング(9983)6.92%、オリックス(8591)12.17%だと推計している。法人税率は34.62%なので各社、相当な節税を行っていると考えられる。

「租税特別措置や欠損金の繰り越し控除などを使えば、税額は結構圧縮できる。受取配当益金不算入制度もあるので、海外子会社からの配当への課税も抑えられる。円高で最高益が出ているのはその効果だ。このようにさまざまな優遇措置を駆使して、納税率を引き下げている」(税理士)。

そうだとすれば、減税効果は意外にないのかもしれない。試しに、経団連などの役員を務める会社の実効税負担率を試算してみた。赤字会社と金融機関を除いて、常岡名誉教授に倣って、直近決算の「法人税、住民税および事業税」を「税引前当期純利益」で割って比率を出してみた。これを見ると、法人税減税が行われて減税効果を得られる会社と、あまり意味がなさそうな会社が何となく察せられる。

「与党は選挙後に政労使会議を開き、賃上げを強く求めた。減税する代わりに、ベアを断行しろと暗に迫った。減税効果は、人件費に回ってしまうので、企業も安易に喜べない」(政治部デスク)。

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