竹中三佳の株Catch ones`eyeスペシャル enish 安徳孝平代表取締役社長インタビュー【前編】

インタビュー 竹中三佳の株Catch one's eye 連載


ネイティブゲームに大転換の途上 女性に強いゲーム開発の秘密

東証マザーズへの新規上場(2012年12月11日)から2年、東証1部指定(13年12月13日)から1年が経過したenish(3667)。浮沈の激しいソーシャルアプリ・ゲーム業界にあって、安徳孝平社長は事業戦略の再構築に着手している。竹中三佳さんがenishの魅力と特徴、そして今後の展開について安徳孝平社長に単独インタビューした模様を2回に分けて紹介する。今回はその前編。(→後編)

1418365151――まずビジネスモデルを教えてください。

安徳 タイトル名「ぼくのレストランⅡ」「ガルショ☆」「千年の巨神」などソーシャルアプリ・ゲームの企画・開発・運営をenishは展開しています。基本的なサービスや製品を無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能について料金を課金し、収益を得ています。ゲームにもよりますが、当社を利用する約10%のユーザーが課金してゲームを楽しんでいます。

――ブラウザゲームからネイティブゲームへの移行が進んでいるようです。

安徳 当初はミクシィ(2121・東マ)DeNA(2432)が展開するモバゲー、グリー(3632)などを通じて配信する、いわゆる「ブラウザゲーム」がメーンでした。最近は、より映像美や表現力を高めたリッチなゲームの提供が可能な「ネイティブゲーム」開発へとシフトチェンジしています。ただ、ウェブページを作成するテクノロジーで生まれる「ブラウザゲーム」が約5,000万円の開発費用なのに対して、「ネイティブゲーム」は家庭用ゲームと同様のテクノロジーで制作されるため、開発や制作方法が異なり1億5,000万円から2億円の開発費、プラスマーケティング費用が必要となり、高額になっています。

――コスト増にもかかわらず、なぜネイティブゲームへの移行するのですか。

安徳 「ブラウザ」は基本的に、日本のみでしか展開できず、近年縮小傾向にあります。これに対し「ネイティブ」は、ワールドワイドに展開できるためマーケットが膨大であり、韓国、中国、アメリカ、ヨーロッパなどを含め、より多くのユーザー獲得を期待できるメリットがあることから、開発シフトを進めています。

――他社に比べ女性ユーザーが多いというenishの強み、特徴も聞かれます。

安徳 開発ゲームは半分程度が女性向けのゲームです。SNS(交流サイト)上ならではのグルメ情報サイトのレビュー機能と、レストラン育成ゲームを結び付け、最初に開発したゲーム「ぼくのレストラン」が、女性向けだったということが大きいと思います。グルメ情報を中心としたコミュニケーションツールとしても活用できるようにした結果、グルメ情報に敏感な若い女性の支持を集めユーザーの7割が女性という成果を得ました。ここで培った技術やノウハウを試行錯誤しながら次作以降に活かし蓄積してきた結果だと思います。

――女性ユーザーは一般的に課金に対して慎重といわれますが、いかにしてそれを強みにできたのでしょうか。

1418365150安徳 enishのメーンユーザーは20歳代女性ですが、課金ユーザーは30歳代後半から40歳代前半の女性です。課金内容はアイテム購入が6-7割、あとは時間短縮などに使われています。男性に比べ女性は課金に対して消極的です。同じコストと時間をかけて開発するのであれば課金単価が低いと言われる女性向けではなく男性向けを作ろうと思うのが一般的ですが、当社の場合、前述したように蓄積ノウハウがあります。

課金ビジネス的には男性の取り込みも重要なので、当社のゲーム開発は女性向けと男性向け両輪で展開していることも事実です。しかし、男性は新作ゲームに流れる傾向にあり、男性向けのゲームはどうしても寿命が短くなります。これに対して女性は、1つのゲームを長年楽しんでくれるという傾向があり、爆発的な大ヒットは見込みづらい半面、緩やかに着実に伸びていくというユーザー特性が見られます。例えば4年前にリリースされた「ガルショ☆」の売り上げは、月間ベースで見て今年の11月が最も高い月でした。女性ユーザーを確実に獲得することは安定した収益に繋がる1つの要素だと考えています。

――新作に流れやすい男性ユーザーの特徴がありましたが、ゲームの種類による賞味期限も開発にあたって重視されそうですね。

安徳 ゲーム内容にもよりますが、パズル系で短いものだと3カ月ごとに新規タイトルのゲームをリリースする必要があります。一方、RPGオンライン系で長いものだと数年単位で遊んでもらえます。オンラインゲームの強みは、コンテンツを際限なく追加できるところ。イベントなどの新しい要素だけではなく機能的な拡張も追加できるので、作品発表後もイベントは毎月、および3カ月に1度程度は大きな機能を追加(メジャーアップデート)しています。

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