取材の現場から 混迷するタカタのエアバッグ問題 ホンダにとっては厄年の1年に

取材の現場から 連載


タカタ(7312) 週足

タカタ(7312) 週足

タカタ(7312)のエアバッグの欠陥問題は、米議会で公聴会が行われたが、全容は依然として不透明。タカタのエアバッグは世界シェア20%だが、ホンダ(7267)のタカタ搭載率は50%。米国でのタカタがらみのホンダのリコール台数は505万台と他社に比べて突出していることもあり、この問題はホンダの問題だとも受け止められている。

「今年のホンダは踏んだり蹴ったりだった。自業自得だが、『他社のせいで』という意識も内部では強いだろう」(自動車ジャーナリスト)。

ホンダは今年度の国内販売台数を過去最高の103万台に設定。これをけん引するのがフィットHVのはずだった。ところが、フィットHVは4度にわたるリコールを出す。原因はDCT型自動変速機がらみで、これは独シェフラー社との共同開発。「自社開発すべきだった」とのホンダ内部の恨み節も伝えられる。

ホンダ(7267) 週足

ホンダ(7267) 週足

度重なるリコールを重く見て、国交省はホンダの新車の型式を認めなかった。結果、6月を予定していたHVセダン「グレイス」の発表は12月。販売目標も93万台に下方修正した。

ともかく新車発表で心機一転、反転攻勢に向かおうという矢先のタカタ問題の噴出だった。

米上院の公聴会でタカタは、「全米規模でのリコール実施する考えはなかったのか、イエスかノーで答えよ」との質問を受けた。タカタは一瞬回答に詰まり「必要性があれば対応する」と答えたものの、質問者に「それはノーという意味か。誠心誠意リコールをしないタカタは大きな間違いを犯している」と糾弾された。

「このやりとりは、タカタの誠意のなさを印象付けた。それがホンダにも波及している。1729件もの死傷事故の報告漏れに関してホンダは、データの入力ミスと説明したが、米国民の多くは不信感を持っている」(在米邦人)。

タカタの議会証言のとばっちりを受けた。

その中、ムーディーズが日本国債を格下げ。

「どんな優良企業でも、日本企業であれば日本国債以上の格付けはあり得ない。今後、日本企業の資金調達のコストは増す。特に米国で生産、販売している企業には大きな負担となる」(証券アナリスト)。

ホンダの10月の北米向け輸出台数はわずか788台。それだけホンダの現地化が進んでいる。タカタ問題で米国での信用が低下する中、国債格下げがさらにホンダを痛めつける――。

まさに厄年のような1年だった。ホンダから見れば他人のせいに感じるかもしれないが、それもやはりホンダ自身の責任だ。

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