ワイエイシイ(6298) 際立つ割安感、可能性大きく秘める

平野憲一の相場表街道/裏街道 連載


平野 憲一氏

平野 憲一氏

ワイエイシイ(6298)が11月10日に発表した2015年3月期の中間連結決算は、前年同期比減収・減益で赤字決算だった。液晶関連と精密熱処理関連の数字が悪かったためだ。しかし、7月28日の年初来高値718円を付けた後の3カ月の調整でその部分をかなり織り込んでいたことと、会社側が通期見通し(売上高180億円、営業利益7億円の黒字)を変えていないことで若干の反発に転じている。

ただし、市場では、前期2億円近くの営業赤字が通期7億円の黒字になる予想に対しては半信半疑のムードも残っている。それに対して百瀬社長は、「前期売上高は21%の減収だが、受注残は前期比3倍を超えており、傘下にした大倉電気を中心とする電力インフラ関連事業が好調で、それは下期に集中的に寄与するため、通期見通しは十分達成できる」と言明している。

ワイエイシイ(6298) 週足

ワイエイシイ(6298) 週足

さらに、前期9.4%の減益だったクリーニング関連事業は、現地生産・現地販売で下期に中国に本格参入する。不振だった液晶関連も下期中心の売り上げ増が期待でき、ハードディスクも高容量化が進み、下期から来期以降大きな数字が上がってくる。また、M&A(企業買収・合併)でグループに2社が新たに加わり、下期に事業領域が拡大する。パワー半導体製造装置が大型市場である欧州で期待される。

そのほか、細かく見ればまだまだ期待材料はあり、先行きの可能性を大きく秘めた企業である。にもかかわらず、PBR(株価純資産倍率)0.44倍、配当利回り3.17%は割安過ぎないか。特に時価総額60億円にも満たない同社が現預金を80億円近くも持つという異常な割安感だけでなく、その潤沢な資金で今後も前向きなM&Aを繰り返し、事業領域を拡大し、企業規模を高めていくというこの会社の方針を、期待を込めて見守っていきたい。当然株価もその趨勢(すうせい)に沿って水準を切り上げていくと思っている。

著者紹介 平野 憲一(ひらのけんいち)
1970年立花証券入社、2006年執行役を経て、2014年7月独立。現在、ケイ・アセット代表。“株一筋40年”のマーケットアナリストとして鋭い分析に定評がある。メディアへの出演多数。日本証券アナリスト協会検定会員。
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