特報 マックvsモス 「価値訴求」の勝利

特報 連載


真の勝負は第3四半期実績

11月17日、内閣府が7-9月期のGDPが、一次速報ベースでマイナス0.4%、年率換算でマイナス1.6%となったことを公表すると、日経平均は大きく反落してしまった。

消費増税後の反動で、消費がなんとなく停滞しているということは誰もが気付いてはいたものの、世の中の「気分」はそこそこ「好景気」だったのに、現実を認めざるをえなくなったという印象だ。

株式市場全体が下げる中、景気敏感株のはずの外食銘柄の代表格・日本マクドナルドホールディングス(2702・JQ)モスフードサービス(8153)の株価は、ほとんど反応していない。既にマクドナルドは10月7日に、2014年12月期に営業損益を従来予想の117億円から、94億円の赤字へ、純損益を60億円から170億円の赤字へと、下方修正している。

マクドナルド(2702) 日足

マクドナルド(2702) 日足

モスも10月31日、営業損益が従来予想の24億円から16億円に減る下方修正しているので、両社の足元の状況の悪さは既に織り込み済み、ということなのだろう。

特にマックは今年2月の社長交代以降、動静が注目されていたところへ、7月の使用期限切れの鶏肉使用事件だった。上海福喜食品の工場内の映像はあまりにも強烈で、チキンマックナゲットが発売中止に追いこまれたことは記憶に新しい。

ただ、マックの不振はこの鶏肉事件だけが原因ではないことは言うまでも無い。外食の競合相手は同業者だけでなく、家に持ち帰れる惣菜を売るスーパーやコンビニも含まれる。

厳しい経営環境に置かれている外食の中で、勝負を分けたのは、「価格訴求」と「価値訴求」のうち、どちらを選んだかだ。無論勝ち組は後者。不況下の成功モデル「価格訴求」から、景気回復後も転換しなかった外食が負け組という構図だ。

この分類からすると、マックは負け組、モスは勝ち組である。そこで本日はマックとモスの業績比較を試みた。

上場はマックが01年7月で、モスはそれよりも16年早い1985年11月。モスは来年で上場から30年になる。

とりあえずマックの業績が拾える2000年12月期(モスは3月決算なので01年3月期)以降で業績を比較したものが下の表だ。

マックは今期が上場後初の赤字だが、モスは過去に2度、最終赤字を計上している。1度目が05年3月期。このときは固定資産の減損会計が始まることを受け、早期適用で多額の減損を特損計上したために赤字になったが、本業は好調だった。

モスフード(8153) 日足

モスフード(8153) 日足

2度目はリーマン・ショック直前の08年3月期。売上高は前期比104%と好調だったが、原材料価格の高騰分を商品価格に転嫁できず、利益率が大幅に悪化したことが原因だ。

配当方針はほぼ安定。05年3月期は期初に出した配当予想を、着地が赤字になっても変えなかったが、2度目の赤字の時は半分に下げている。今期は22円の期初予想を下方修正後も守っている。モスこそ、鶏肉問題で第2四半期以降失速してしまったからだろう。今第1四半期は前年比2%の増収だったのに、第2四半期で3.5%の減収となってしまったからだ。ただ、第1四半期の時点で原材料高騰の影響で営業利益率は0.34ポイントほど前年同期比で下がっていたために、営業利益段階では減益だった。

創業当時から現在までFCが基本のモスに対し、マックは原田泳幸前社長時代からFC化を進めたので、07年12月期以降、営業利益のケタが変わっているが、アベノミクス以降の苦戦は目を覆うばかり。

それでも両社への株式市場の評価は高い。巨額の赤字予想のマックの11月18日午前11時半時点の株価は2,700円。PERは赤字予想なので計算できないが、PBR(株価純資産倍率)は2.24倍。一方モスは2,106円でPERはなんと108.22倍でPBRは1.58倍。

鶏肉事件の影響を言い訳に出来るのは上期まで。第3四半期の実績が出る来年2月が正念場になるだろう。

モスフードサービスの連結業績推移
売上高 営業利益 当期純利益 配当 期末株価 PER PBR 配当性向
01/3 70,819 2,527 1,017 10 920 28.53 0.67 31.0%
02/3 72,122 1,461 694 16 830 37.76 0.60 72.8%
03/3 65,668 2,328 1,058 20 890 26.78 0.63 60.2%
04/3 58,675 2,114 1,087 22 1,145 33.32 0.80 64.0%
05/3 59,345 2,046 -7,348 24 1,580 1.36
06/3 58,216 2,315 1,092 26 1,719 48.55 1.44 73.4%
07/3 59,890 1,380 202 26 1,617 237.79 1.39 382.4%
08/3 62,301 752 -325 13 1,470 1.31
09/3 60,641 1,747 552 12 1,533 85.93 1.38 67.3%
10/3 60,009 2,282 1,634 16 1,530 28.86 1.32 30.2%
11/3 63,195 3,223 1,854 20 1,525 25.36 1.27 33.3%
12/3 62,672 2,087 1,823 20 1,570 26.55 1.27 33.8%
13/3 62,371 1,889 1,520 20 1,953 39.59 1.52 40.5%
14/3 65,329 2,157 1,744 22 2,078 36.73 1.55 38.9%
15/3予(期初) 67,000 2,400 1,250 22 54.3%
15/3予(直近) 65,300 1,600 600 22 113.1%
日本マクドナルドホールディングスの連結業績推移
売上高 営業利益 当期純利益 配当 期末株価 PER PBR 配当性向
00/12 357,886 29,440 16,801
01/12 361,672 19,299 10,186 30 3,290 40.75 2.74 37.2%
02/12 320,713 3,944 2,335 30 1,860 105.86 1.64 170.8%
03/12 299,823 2,842 7,121 30 2,040 38.08 1.92 56.0%
04/12 308,379 7,244 3,680 30 2,205 79.66 2.09 108.4%
05/12 325,655 3,210 60 30 1,908 4,147.83 1.87 6,521.7%
06/12 355,696 7,380 1,549 30 1,984 170.30 2.03 257.5%
07/12 395,061 16,733 7,819 30 1,867 31.75 1.87 51.0%
08/12 406,373 19,543 12,393 30 1,800 19.31 1.72 32.2%
09/12 362,312 24,230 12,809 30 1,779 18.47 1.59 31.2%
10/12 323,799 28,135 7,864 30 2,036 34.42 1.78 50.7%
11/12 302,339 28,182 13,298 30 2,077 20.77 1.71 30.0%
12/12 294,710 24,780 12,870 30 2,285 23.61 1.78 31.0%
13/12 260,441 11,524 5,138 30 2,687 69.54 2.08 77.6%
14/12予(期初) 250,000 11,700 6,000 30
14/12予(直近) 221,000 -9,400 -17,000 30

※金額の単位は配当と株価のみ円、それ以外は百万円。PER、PBRは実績ベース

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