【深層】を読む 当てにならない「相場観」 頼みとすべきは公開情報分析

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企業担当者にも連絡を

日銀のサプライズ追加緩和で、日本株市場は新たなステージに入ったのか? それとも、一時だけの打ち上げ花火だったのか? 落ち着くにつれ、市場参加者にとっては先行き不透明感が増してくるのは間違いなさそうだ。約1カ月後に消費税10%への引き上げの決断を控えて、景気への期待感と不安感が折に触れて交錯する展開は避けられそうにない。

そんな中で、投資家として何を頼りにするべきだろうか? これはかなり難しい質問だ。いわゆる相場観と呼ばれるものが、どれほど当てにならないかは、投資初心者でも分かるし、ベテランになればなるほど、その落とし穴の怖さを理解している。自分の相場観に自信が持てないあまり、他人の言葉をうのみにしたり、荒唐無稽(むけい)なアイデアに食い付いてしまう。それらが成功した話は聞いたことがない。インターネットの普及に伴って情報が溢れる現代では、情報をどうやって入手するかはもはや問題ではなく、役立つ情報をどうより分けて選ぶかが、より重要になってくる。

相場の世界では、自分だけが知っている、という情報はあり得ない、と考えた方が安全だ。「あなただけに、こっそり教えます」なんてのは、典型的な詐欺商法の常套(じょうとう)手段。その瞬間に無視をするのが鉄則だ。そんな怪しげな話に頼らなくても、銘柄選びは公表されている会社業績を丹念に調べることによって、いくらでもヒントが見つかるのだ。もちろん、公表されている情報なので、機関投資家や外国人投資家に対して、個人投資家がハンデを背負うことも少ない。個人投資家は、会社側と話ができないと考えがちだが、四季報やホームページに掲載されている連絡先に一度電話してみることをお勧めする。意外に話してくれることが多いことに驚くと思う。もちろん、担当者はインサイダー情報については漏らしてはいけないことは十分に承知しているので、そういった情報を得ようとしても無駄な努力になるだろう。しかし、疑問点などについて、かなり詳しい話を聞けることが多いのも事実だ。もちろん、「俺は株主様だ」という態度では、伝わるものも伝わらなくなる。普段、ビジネスで顧客対応をしているように丁寧に対応すると、相手側も丁寧に対応してくれる。

個人投資家として個別銘柄を調べるとき、入りやすい分野から入るのが得策と考えている。誰にでも、趣味や一芸はあると思う。この話について語らせれば、いくらでも話ができる、というような自分が興味を持てる分野から攻めていくのは、1つのやり方だ。自動車については任せておいてくれ、カメラについてならドンと来い、化粧品については少しうるさい、自分の勤務している会社の同業社などなど、自分が一番手を付けやすいところからスタートすれば良い。何も全業種、全銘柄を知ることは、少なくとも最初のころは必要ない。例えば、最初は自動車メーカーから入っても、自動車部品、タイヤ、電装品などに興味が広がっていけばベター。得意銘柄も増えてくるだろうし、継続的にウオッチすることで、その銘柄のクセや傾向も見えてくるだろう。

そして、投資に何よりも大事なのはタイミング。これを意味不明の相場観に頼ることなく、それなりの根拠を持ってできるようになれば、投資に関するリスクのかなりの部分を把握できることになる。把握しているリスクに対しては対処もできる。株式投資で一番怖いのが、「そんな想定外のリスクがあったのか?」とぼうぜん自失になることだ。これを減らす努力は、自分がある程度慣れてきたとしても、絶え間なく続けることが必要となる。そのアップデートに使う材料が、四半期ごとに発表される企業業績であり、日々のさまざまな経済ニュースだ。

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