取材の現場から 製薬業界の透明性ガイドライン 透明性高い企業評価は高まる

取材の現場から 連載


パイプドビッツに商機到来

アメリカには、「サンシャイン条項」という制度がある。製薬企業から医師や医療機関への金品の提供に関する情報公開制度で、オバマ大統領の医療保険改革「オバマケア」の一環で制定された法律だ。

このサンシャイン条項に倣い、日本製薬工業協会が業界自主基準の「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」(透明性GL)を策定し、昨年から情報公開が始まっている。しかし、8月に本欄で触れた通り、今年の開示は大幅に遅れている。現時点で72社中14社が未公表。というのも、今年から医師個人への拠出額を公表することになっていたが、医師らが反発し、時間がかかっているという。

日本医師会も透明性GLにはまだ納得いっていないようだが、その一方で情報公開の強化も進んでいる。2016年度分の公表から、研究費の細目まで公表することが、10月16日の製薬協の総会で決まった。現状では研究費の年間総額を公表しているが、内訳や支払先の施設名など詳細に開示することとなる。

PBITS(3831) 週足

PBITS(3831) 週足

公表の仕方も統一化することとなった。公表方法は各社の判断に委ねられており、ウェブで公表する会社もあれば、自社内に設けた閲覧室を訪問しないと見られない会社もある。ウェブ公表も、検索やプリントアウトができないなど情報公開レベルは低い。7月に厚生労働大臣も、「企業によって対応がばらばらで、開示方法などが十分でないという声がある」と、製薬協に苦言を呈していた。

また、厚労省の「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」では、透明性GLの法制度化も検討されている。このように今後、製薬会社のディスクロは強化される方向だ。そうなれば、透明性の高い企業の評価は高まる。今年の情報公開で、8月中にいち早く開示したのはファイザー(ラクオリア創薬、4579・JQ)、中外製薬(4519)アステラス製薬(4503)エーザイ(4523)武田薬品(4502)第一三共(4568)の6社だった。

ところで、透明性GLのネット情報公開システムを複数請け負っているのは、AKB総選挙の投開票システムで知られるパイプドビッツ(3831)。同社関係者によれば、「たまたま複数の製薬メーカーからシステム開発を請け負ったので、汎用的なシステムを製薬メーカー向けに出すことにした」という。

今後、情報公開内容は高度化し、法制化もあり得る。企業の情報公開システムという新たなマーケットが生まれる可能性も高い。

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