取材の現場から ビッグローブは業界再編の核に

取材の現場から 連載


MVNO市場の争奪戦へ IIJ、日本通信、フリービットなど

投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)が、およそ600億円を投じて買収したインターネット・ポータルサイトのビッグローブは、その後、どういう状況なのだろう。

「もともとNEC(6701)の子会社なので、社員の多くがNEC出身。だから買収に当たり、NECに戻る権利を彼らは有している。けれども、『NECに戻りたい』と言う社員はほとんど見当たらない。NECの先行きは、身内から見てもネガティブだということだね。残念だが、その判断は妥当だ」(NEC関係者)。

とはいうものの、ではビッグローブの先行きは果たして安泰なのか。そもそも600億円の価値がビッグローブにはあるのだろうか。ヤフー(4689)のようなポータルサイトがもてはやされた時代は終わっており、買収額は過剰ではないかという向きもある。JIPは、ビッグローブでどういうビジネス展開をしていこうとしているのか。その鍵となるのは「MVNO」(仮想移動体通信事業者)なのだという。

MVNOは、ドコモ(9437)やau(KDDI、9433)など通信キャリアから空いている通信回線の一部を借り、その回線でビジネスを展開するというもの。一般には、イオン(8267)ビックカメラ(3048)などが始めたSIMフリー端末、いわゆる「格安スマートフォン(スマホ)」事業が知られている。

フリービット(3843) 週足

フリービット(3843) 週足

「格安スマホのビジネスは間違いなく拡大する。いろんな小売業者が、MVNOの代理店として格安スマホを扱うだろう。最近では、不動産賃貸仲介のエイブルが、フリービット(3843・東マ)と提携し、格安スマホ参入を発表した。実はビッグローブもMVNOだ。JIPは、そこに目を付けていたようだ」(ITコンサル)。

現在、MVNOの事業者数は165社だが、上位30社程度で総契約数の9割を占めているという。となれば、これから始まるのは業界再編だ。野心的な独立系大手としては、IIJ(3774)日本通信(9424・JQ)、フリービットなど多数ある。こうした会社が合従連衡を始めるとみられる。

「ビッグローブは、NTT(9432)と関係の深いNECの子会社だったので、通信事業の展開には制約が多かった。しかし、NECと切れたことでフリーハンドを得た。これで、再編の核になり得る」(前出コンサル)。

MVNOには、パナソニック(6752)も参入を発表。格安スマホではなく、遠隔操作ビジネスを展開するという。MVNOはビジネス展開の武器として広がり始めている。

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