取材の現場から 「車体課税」見直しは厳しいか 下請けで進む海外シフト

取材の現場から 連載


海外コンサルタント企業にチャンス

乗用車の8月の国内生産台数が明らかになった。前年同月比7.4%減で、2カ月連続のマイナス。本欄で前回伝えた通り、自動車の受注台数は今年1月をピークに下落。消費増税後も国内生産を維持できていたのは受注残で持ちこたえていただけだと、ここであらためて確認する形となった。個別を見てもトヨタ(7203)は5カ月、日産(7201)は3カ月連続のマイナス。今回、ホンダ(7267)が初めてマイナスに転じたが、ホンダは消費税駆け込みだけでなく、フィットのリコールなどで受注残が他社よりあったためとみられる。

いずれにせよ国内消費の減退は予想を超えていた。来年10月に消費税が10%になれば、さらに需要は冷え込むだろう。そこで自動車業界は、車体課税の撤廃を求めている。今、法人減税が争点となっているが、自動車業界にとっては車体課税の方が重要だ。今月から自民党税調が議論を始める。業界の陳情活動が始まる。

NRI(4307) 週足

NRI(4307) 週足

「経産省自動車課が業界を後押しするのだが、実は、夏に就任した自動車課長は、衆院議長の伊吹文明氏の子息だ。伊吹さんといえば自民税調のインナーだったし、そもそも大蔵省出身。減税には批判的な考えの持ち主。そのため今回は、経産省のバックアップはあまり期待できないかもしれない」(自動車メーカー渉外担当)。

さらに政府からは早くもベアを求められている。売れないし、負担も強いられるのでは、「日本でやってられない」と、海外現地生産シフトがさらに進むだろう。

そうなると困るのは下請け会社。帝国データの調査によれば、トヨタの下請け企業の7割がリーマン・ショック前の売り上げを回復していないという。円安メリットを享受できていないのだ。つまり、下請け会社こそが既に「日本でやってられない」状態に追い込まれている。

となれば力のある下請けは、海外進出で生き残りを図るしかない。これは、海外進出を支援する企業にはビジネスチャンス。中小企業の海外進出をコンサルする船井総研(9757)、シンガポールや上海などへの進出支援を行う山田コンサルティンググループ(4792・JQ)、異文化研修などで海外進出企業の育成を支援する子会社を持つリンクアンドモチベーション(2170)、海外に進出した日本企業を対象とする、各種業務支援システムのアウトソーシングサービスを行う野村総研(4307)などがある。

それにしても、企業の海外進出が進めばさらに税収が減りかねない。どうしたものか。

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