第12回 日本精密(7771) 日本企業のアセアン戦略支える

平野憲一の相場表街道/裏街道 連載


平野 憲一氏

平野 憲一氏

9月11日木曜日の全面広告でGPS(全地球測位システム)ハイブリッド電波ソーラー「オシアナス」の大宣伝が始まった。カシオ(6952)が社運を賭けるGショック世界戦略だ。20万円もするフルメタルモデルは日本や世界で爆発的に売れることだろう。

この戦略に欠かすことのできない企業が日本精密(7771・JQ)だ。同社は金属時計バンドのトップメーカーだが、ほかのほとんどの時計部品にも関与し、OEM(相手先ブランドによる生産)供給をしている時計関連売上高比率が64%の精密部品会社だ。カシオ向け売り上げは全売り上げの50%を超える。本稿第6回で取り上げたカンボジア新工場は既に稼働を始め、時計関連部品も一大サプライチェーン構築がスタートしている。Gショック戦略とともにカンボジア工場はこれからフル稼働に入るだろう。また高技術が確立されているベトナム工場から一部をカンボジアに移し、空いたスペースでカシオ以外の日本企業の高いレベルの要求に応えようとしている。チャイナプラスワンでASEAN(アセアン、東南アジア諸国連合)諸国での生産に動き出した企業は多いが簡単ではない。高いレベルの一貫生産でOEM供給できるのはアセアンで同社1社だけだ。既に数社から大型案件も持ち込まれており、当然価格交渉も有利に進んでいる。

日本精密(7771) 日足

日本精密(7771) 日足

このようにカンボジアでの受注増、ベトナムでの収益増を総合すると明らかに大幅増収増益の姿が見えてくる。会社側も今までの物つくり会社としての技術向上投資の果実を得るべくかじを切った。「これからは利益を出します」と言明する会社側の方針を聞いた。ベトナム工場での案件が成立するとともに、われわれの度肝を抜く収益が表面化する。株価100円台に居るような企業ではない。まずは、1,000株売れば23万円の黒のフルメタルモデルを軽く買えるくらいにはなると筆者は思っている。

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