取材の現場から 自動車運転処罰法への適用で関心

取材の現場から 連載


抗てんかん薬メーカーに目配り エーザイ、大日本住友製薬など

札幌地裁は9月2日、運転中にてんかん発作を起こし、衝突事故で運転者を負傷させた被告に懲役1年10カ月の実刑判決を言い渡した。今年5月から、てんかんや統合失調症などの病気が原因で事故を起こした場合、自動車運転処罰法が適用されることになり、この判決が第1号となった。

てんかんの発症率は1%弱程度で、日本人なら約100万人、全世界で約5,000万人の患者がいるという。誰でもなる可能性があり、高齢化で有病率が増える可能性も指摘されている。

エーザイ(4523) 週足

エーザイ(4523) 週足

しかし、てんかんに対する理解度は低い。てんかんは大脳の病気だが、脳のどの部位に障害があるかによって発作のタイプは多種多様。てんかん患者を扱う医師でも、その多くが実際にどんなふうにてんかん発作が起こるのかを見たことがないという。理解不足のため精神疾患と誤診されたり、てんかんのタイプを見誤り、誤った治療、投薬が行われるケースも多いのだという。

そうした問題を鑑み今回、大塚製薬(大塚ホールディングス、4578)とベルギーの製薬会社ユーシービーの日本法人が、てんかん発作の様子を収録したDVDを製作。約1万枚を配布し、全国の医師や患者への教育、さらに一般の人たちへの理解不足の解消につなげるという。

同DVDを監修した東北大学大学院の中里信和教授によれば、「てんかんの発作は多種多様だが、患者の発症型は限られている。発作型が分かれば、診断が正確になる」という。DVDにより、個々人に合わせた的確なてんかん治療が施されることが期待される。

抗てんかん薬というと、イーケプラを扱う大塚製薬、ユーシービーのほかに、ファイコンパで世界売り上げ1,000億円を目指すエーザイ(4523)、てんかん治療研究振興財団を設立した大日本住友製薬(4506)、主要製品にデパケン、トピナをもつ協和発酵キリン(4151)、世界93の国と地域で使用されているガバペンを持つファイザー(ラクオリア創薬、4579・JQ)などが挙げられる。

蛇足だが、米国で解禁され始めたマリファナ(大麻)は、医療にも有効だと言われている。てんかんにも効くというのだが、てんかんの専門医によれば、「医療大麻は抗がん剤の副作用抑制には効果があるとされているが、てんかんについては全く分からない。学会でも議論に上っていない」という。やはり医療大麻のような変化球より、まずはDVDを見て、正しい知識を入れることが肝要だ。

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