取材の現場から 斜陽の木材ビジネスにチャンス 五輪と輸出がカギ

取材の現場から 連載


日本の林業は斜陽産業とみられている。しかし、「木材ビジネスは今、何年かに一度の絶好のチャンスだ」と鼻息を荒くする向きもある。「ピンチはチャンス」なのだという。

すてきナイス(8089) 週足

すてきナイス(8089) 週足

木材は早々に海外製品に凌駕(りょうが)された産業だった。東京五輪があった昭和39年に輸入が完全自由化され、安価な外材に国内産は浸食されていった。今では木材自給率は20%台と低迷し続けている。ところが、中国をはじめとする新興国の経済成長に伴い、住宅需要が高まって木材価格が高騰。それが功を奏して、ここへきて国内産木材の価格が相対的に安くなり、外材に対して価格競争力を持ち始めたという。加えて円安により、輸出競争力も持ち始めたという。

ここ1年は、消費増税の駆け込み需要に伴う住宅建設で一時的に国内木材価格が高騰したが、それも収まった。そもそも、戦後に植林された樹齢50-60年の伐採適齢期の木がわんさとあるので、供給力は全く問題なく、品薄による価格高騰は考え難い。安価で良質な木材を、それこそどんどん輸出できる環境にあるのだ。

それを見越した具体的な動きが出てきている。すてきナイスグループ(8089)は、徳島県に大型製材工場を建設。供給力を高め、中国、韓国、ロシア、そして東南アジアへの輸出強化を進めている。阪和興業(8078)は、地方自治体や森林組合と協力して、間伐材の海外市場への輸出を行っている。

阪和興業(8078) 週足

阪和興業(8078) 週足

ミサワホーム(1722)も海外展開には前向き。中国雲南省でモデル事業も行っているが、海外では住宅建設だけでなく、木材輸出も念頭に置いているようで、日本木材輸出振興協会にも参画している。

木材ビジネスは政府の後押しもある。閣議決定した『森林・林業白書』では、国内木材の積極利用がうたわれている。日本再興戦略にも「国産材CLT(直交集成板)の普及」が盛り込まれている。CLTは木の繊維を交差するように加工し、強度や断熱性、遮音性を高めた木材パネル。これを輸出する政策を打ち出している。

そのCLTを2020年の東京五輪で世界にアピールすることを高知県が提案している。高知県はCLT推進を県の政策に掲げており、既に東京都やJOC(日本オリンピック委員会)、日本体育協会、文科省に選手村などの施設でのCLT活用を提案している。

このように木材ビジネス活性化の環境が整っている。あとはいかに本気度を出すか、そして国民に対する情報発信力も必要だ。むしろ、それがネックになるのだろう。

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