【深層】を読む 夏枯れ・膠着地合い下で考える 自身の戦略、見極めが重要

【深層】を読む 連載


「負け」認め撤退する勇気も

甲子園で夏の高校野球大会が始まると、相場への参加者が減少し、閑散見送り商状になるのは例年のことだが、今年はもう数カ月間もそんな状態が継続している。上値も下値も限定的で、考え方によっては底堅い展開と言えるが、大きな上値が望めそうにないのは衆目の一致するところだろう。こういった局面では、「動きだすまで何もしない」が優勢な考え方に思えるし、実際問題、四苦八苦して相場に参加しても果実を得られないのであれば、今後のために相場の勉強や銘柄研究に時間を費やした方がマシに思える。

こういった状況は永遠には続かないことは、相場参加者の大半が理解しており、マーケットに参加するタイミング、そして最初の方向性、さらに自分の投資戦略をきちんと見極めることが非常に重要になってくる。その時の相場材料そのものは、それほど大事ではない。そもそも、自分が事前に予想できる相場材料は、市場参加者の大多数が既に予想しており、相場に織り込まれていると考えるべきだろう。「自分だけが知っている大きな材料がある」と考えること自体が間違いのことが多く、うぬぼれにすぎないケースがほとんどだ。

相場において大損を食らう大きな原因は、自分の思い込みによって、中立な立場で相場を冷静に分析することができなくなり、間違っている戦略に間違った考え方を付け加えて、より大きな間違ったポジションを取ってしまうことにある。相場格言で言う、「やられナンピン、スカンピン」(損しているポジションを増すこと、往々にして、より大きな損を被る)という状態に陥ることを指し、格言では、それを強く戒めている。この格言が過去からずっと残り続けている事実そのものが、これまで、どれだけ多くの投資家が「やられナンピン」で痛い目にあったのかを物語っているし、反省しても悔やんでもやめられない、というもどかしい状況を示唆している。

迷った時には、一歩下がって、自らの思い込みを捨てる努力をしつつ、相場を分析し直すことを強くお勧めしたい。そして、見込みに逆行してしまったポジションについては、自らの「負け」を認め、損失を出してでも、素直に速やかに撤退する勇気を持ってほしい。損が出ている間違いの戦略に間違いを上塗りしても、ろくな結果にはならないのは、冷静に考えれば当たり前のことだろう。いずれそれで損が取り返せると考えるのは、余りにもお人好し過ぎる。自分の思い込みが強過ぎることに加え、ポジションに含み損失が出ていると、多くは、冷静に考えることが困難になり、後で振り返ると、赤面するような恥ずかしい馬鹿げた行動を取ってしまうものだ。

相場の世界でプロと呼ばれる人、しかも長く相場で活躍している人は、潔く自分の負けを認めることができるし、またその判断を先延ばししない人が多い。要するに、そうでないと生き残っていけないのだ。「損切りがうまい人は生き残る」も相場格言の一つだが、これも厳然たる真実だと思う。利食いがうまいのはプロなら当然の話。しかし、勝率10割の人がいるワケがない。相場の見込み違いから損切りは避けられないとしても、そのダメージをいかに局限するかで、相場の世界で生き残れるかどうかが決まると言っても言い過ぎではないと考えている。

上下レンジが限定されている現在の相場も、いつか、どこかで大きく動きだすだろう。その際に、自分がどう行動すべきかを、この暇な時にじっくり考えておいてほしい。きっと、将来、役に立つと思う。

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