第6回 日本精密(7771) ものづくり会社の大展開に期待

平野憲一の相場表街道/裏街道 連載


 

平野 憲一氏

平野 憲一氏

日本精密(7771・JQ)は金属時計バンドのトップメーカーだが、ほかのほとんどの時計部品にも関与し、時計関連売上高比率が64%の精密部品会社。カシオの信頼厚くカシオ向け売り上げが全売り上げの50%を超える。7月31日に2015年3月期第1四半期連結決算を発表した。予想通りの増収増益だが、数字的サプライズが無かったため、その後の株価は調整気味だ。ただし、カシオのアジア「Gショック」戦略に組み込まれているので、業績は今後順調に伸びると予想される。

しかし、筆者が今回同社を紹介するのはさらに大きな期待があるからだ。同社はASEAN(東南アジア諸国連合)地域を一体と考え早くからベトナムに進出した。社員教育も充実し時計部品の高級品を生産しているが、現在カンボジアにも新工場を立ち上げ一大サプライチェーンを構築しようとしている。新工場は13万平方㍍(東京ドーム2.8個の広さ)の広大なものだが、隣に10万平方メートルを確保し合計23万平方メートルの大工場が立ち上がる。しかも、その周りに協力工場を誘致し、とてつもない規模で時計関連部品すべての生産工場となる。

筆者が期待するのはこれからだ。手のひらに乗るものなら何でも作れると豪語する高度なものづくり会社である同社を頼りに、チャイナプラスワンに動き出した精密企業群の引き合いが無数に来ている。中国リスクを回避してベトナムやカンボジアに転身を図る企業は多いが、実は、中国で確立した技術水準をほかのASEAN諸国で簡単には代行できないのだ。「チャイナプラスワンの受け皿はわが社しか無い」(会社側)と自信を持つものづくり会社・日本精密の成長戦略の先には、スマートフォン関連を含む各種精密加工品の大展開が見える。2018年3月期連結1株利益39円(14年3月比5.2倍)を目指す同社はまさに材料の玉手箱だ。

著者紹介 平野 憲一(ひらのけんいち)
1970年立花証券入社、2006年執行役を経て、2014年7月独立。現在、ケイ・アセット代表。“株一筋40年”のマーケットアナリストとして鋭い分析に定評がある。メディアへの出演多数。日本証券アナリスト協会検定会員。
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