取材の現場から 水素は危なくないキャンペーン

取材の現場から 連載


FCVは海底トンネル通行可

来年、燃料電池車(FCV)が市販されるが、それに向け環境整備が進められている。水素という「危険物」を燃料とするので、その規制緩和なども進めているが、そういう中で「FCVは海底トンネルを通れないのではないか」という話を何度か耳にした。

トンネルという閉ざされた空間でFCVが事故を起こした場合、燃料の水素が爆発して大事故につながるため――ということらしい。東京湾アクアラインなどを通れないとなると、FCVは不便なクルマだということになってしまう。

結論から言えば、FCVは海底トンネルを走ることはできる。が、キャリアカーにFCVを積んで通る場合には制限を受けることになっている。液体なら600kg、ガスなら60立方メートルを越えると通行できない。道路法46条では、「爆発性又は易燃性を有する物件その他の危険物を積載する車両の通行」を禁止、制限すると規定されている。ただ、FCV自体は水素を「積載」しているわけではないので、この規定には該当しないから走行は制限されない――と解釈することになっているという。

JX(5020) 週足

JX(5020) 週足

つまり、海底トンネルを通れるということだが、こうした誤解が広まっているのはやはり、「水素は危ない」という“常識”が定着しているからだろう。福島原発事故でも「水素爆発」がクローズアップされた。また、飛行船の爆発事故も水素は危険という意識を植え付けた。

しかし、「水素は危ないものではない」とされる。例えばLPガスは空気より重いので、漏れると下の方に滞留してどんどん濃度が濃くなっていくが、水素は軽いのですぐに空中に拡散する。原発内部のような密閉した場所でなければ、爆発はほとんどないという。1937年の飛行船ヒンデンブルグ号の爆発事故も、97年に元NASA研究員の調査により、原因は機体の布の塗料が原因だということになっている。ところが、こうした情報はあまり知られていない。

いずれにせよFCVの普及、さらに将来の水素社会のためには、こうした国民の意識を改めねばならない。そのため政府や、FCVを販売するトヨタ(7203)ホンダ(7267)、さらに水素ビジネスを広げたいJX(5020)岩谷産業(8088)川崎重工(7012)などが共同で「水素は危なくない」というキャンペーンを始める予定だという。

ちなみに、アクアラインでは規制緩和により、FCV積載のキャリアカーの走行も既に可能となっている。

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