取材の現場から グーグルvsテレビ ドイツではメディアが提訴へ

取材の現場から 連載


共存か、対立か

グーグルに対する欧州の締め付けが厳しさを増している。5月にグーグルが「忘れられる権利」で敗訴したが、ドイツのマース法相は6月28日付の新聞インタビューで、「グーグル解体」に言及。さらにドイツでは、複数の大手メディアがグーグルを提訴し、ニュース記事の使用料として売上高の11%を支払うよう求めた。昨年ドイツは著作権法を改正し、報道機関へのニュース使用料支払いをネット運営会社に義務付けた。しかし、掲載料や支払う仕組みなど詳細は定めなかった。そのため、今回の訴訟の行方が注目されている。

この裁判が日本国内のネットニュース配信に影響を及ぼす可能性もある。日本の大手新聞の中には「ネットのせいで新聞が売れない。やり放題のネットへの規制は必要」との声も強い。ドイツのケースは「好例」として、ネット規制の必要性を紙面で唱えるべきとの意見もある。

こうした反応にヤフー(4689)の関係者は、「ニュース記事はヤフー閲覧のメーンコンテンツです。新聞社の記事配信がなければ、ビュー数に相当影響が出かねない。新聞社と喧嘩するつもりなど毛頭ないのに…」と当惑する。

ともかく、新聞社がネット規制強化の論陣を張れば、世論もそちらの方に動く可能性は高い。

新聞だけでなく、テレビ業界もネット規制強化に振れる可能性も出てきた。

日テレHD(9404) 週足

日テレHD(9404) 週足

グーグルは5月28日、ユーチューブなどネットのストリーミング動画などをテレビで視聴できるようにする端末「クロームキャスト」を発売。テレビの視聴時間が落ち、ネットの利用時間が上昇している中で、テレビ画面までもがネットに奪われてしまいかねない。テレビ局にとって死活問題だ。

ただ、テレビ報道は今、ネット抜きでは成り立たない状況なのだという。

「事件の容疑者や被害者の顔写真は、今ではフェイスブックなどネットから入手することが多い。視聴者の声もツィッターなどを通じて採っている。事件や事故直後の映像も、その場に居た人がスマホで録画した映像を提供してもらうことも増えた」(大手テレビ局報道デスク)。

そのため日本テレビ(9404)では、そうしたネット上の情報を専門に扱うリサーチャー(記者)を雇っており、TBS(9401)テレビ朝日(9409)でも同様の専門リサーチャーの採用を検討しているという。

現場では「持ちつ持たれつ」だが、経営サイドでは、既存メディアとネット会社の対立は深まる一方だ。

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