特報 アコーディア・ゴルフ株主総会 「アセットライト」実施は可決

特報 連載


次の関門はシンガポール

今年の総会注目銘柄の一つ、アコーディア・ゴルフ(2131)の定時株主総会が6月27日に終了した。アコーディア・ゴルフの株主総会といえば、前々回は竹生道巨前社長の私的問題に絡み、上位株主による株主提案の役員選任を巡る委任状争奪戦が展開され、2日間に及んだことを記憶している読者も多いだろう。

昨年は2012年秋にPGM(2466)から仕掛けられたTOB(株式公開買い付け)を阻止したところで開催された。TOBの終盤で村上ファンドの流れをくむレノが買収合戦に参戦する展開になり、PGMからの買収の脅威は去ったものの、代わりに別の脅威に入れ替わり、ほっと一息という状況ではなかった。

アコーディア(2131) 週足

アコーディア(2131) 週足

今年の総会は、ゴルフ場資産の7割を切り離し身軽になる「アセットライト」実施の可否を問う3つの議案が上程され、これが可決されるかどうかが注目を集めていた。

賛成多数で可決されたことは6月27日当日中に公表されていたが、6月30日に臨時報告書が提出され、各議案ごとの具体的な得票数が判明した。

まず少々驚くのが、議決権行使率が67%と、極めて低水準にとどまったことだ。議案は1号から7号まで7件。1号は配当、2号は定款変更、3号が取締役の選任、4号が監査役選任、5号から7号がアセットライト実施にかかわるもので、ゴルフ場7割の事業譲渡、大和証券への第三者割当による新株予約権発行、それに上限3割の1,400円での自己株取得である。

賛成票と反対票、棄権票の合計は、各議案ごとにやや誤差があるのは、無効票が含まれていたためと思われる。賛成票、反対票、棄権票の合計票数の最大値は68万7,951票なので、これを総議決権数102万6,447個で割ると67%。2012年総会の74.8%から大きく目減りしている。

賛成票の割合も議案によってかなりの落差がある。配当こそ95.77%の賛成を得たものの、役員に関しては、社長の鎌田隆介氏、財務担当の鈴木隆文氏、社外取締役でGE出身の前川充留氏の3人だけが94-95%の賛成を得、残る7人の取締役は59%という低水準だ。

監査役2名も極端な結果になり、對田恒雄氏は95%だが、藏口勝氏は79.48%。一方、注目のアセットライト関連の3議案は89-90%。レノの賛同を得られたことは間違いない。

そのレノ、本紙5月21日号でも報じた通り、5月12日に実施された決算説明会の場で、代表の三浦恵美氏が突如質問に立ち、注目を集めたが、今回の総会でも8項目にわたる質問を行っている。

まず、1番目が9割配当を2年で撤回して半分に引き下げるのは株主への裏切りではないかという点。2番目がビジネストラスト以外のどんな策を検討したのか。3番目が、レノがPGMとの統合の話し合いの場を提供すると提案したのに、断っているのはどういうことか。このほかビジネストラスト上場の可能性や、アセットライトを実施した上で、あらためてPGMとの統合意思はないのかなどが8項目の中身である。

こんな質問をするくらいだから、アセットライトには反対するのかと思いきや、しっかり賛成票を入れている。

そうなると、一連の質問の意図を勘ぐりたくなるのが人情である。今回のスキームは、ゴルフ場資産の流動化商品をシンガポールで上場し、投資家から集めた資金で発行済みの3分の1を自己株取得するというものだ。

1,400円という自己株取得単価はアセットライト実施以前の株価水準に4-5%を上乗せした程度のものだが、レノがアコーディア株を取得した2012年末当時の株価の1.7倍に当たり、レノとしてはこの株価でエグジットできれば上出来だろう。

ただ、今回の自己株取得は3割を上限にしているので、これ以上の応募があると比例配分がかかり、レノは全株を処分できなくなる。

従って、アセットライト化議案は可決してほしいが、ほかの株主の応募はできるだけ少ないほうがいい。レノの発言が牽制効果になって応募が減るようなことがあれば、レノとしては願ったりかなったりになるのではないか。

ただ、議決権行使率の低さは議案への無関心を意味する。総会は3月末時点の株主に議決権が与えられるので、4月以降に売却している株主は関心を失う。TOBへの応募を決めている株主でも、可決可能だから会社も議案を提出するのだと考え、可決を信じていればやはり議決権行使には無関心になる。

レノがめでたく全株のエグジットに成功するのかどうかも注目ポイントだが、最大の関門はシンガポールでの調達が予定通りにいくかどうかだ。フタを開けてみたら投資家は日本人ばかりだったということもあり得るかもしれない。

著者紹介 伊藤 歩(いとう あゆみ)
ノンバンク、外資系金融機関など複数の企業で融資、不良債権回収、金融商品の販売を手掛けた経験を持つ金融ジャーナリスト。主な著書に「TOB阻止 完全対応マニュアル」(財界展望新社刊)
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