取材の現場から クリーンディーゼル急浮上 経産省肝いり「AICE」発足

取材の現場から 連載


いすゞ&ユーグレナは別路線

ここへきて「ディーゼル」が脚光を浴び始めてきた。6月25日にいすゞ(7202)ユーグレナ(2931・東マ)が、ミドリムシを使った次世代バイオディーゼル燃料の実用化を目指す共同研究を始めることを発表。

いすゞ(7202) 週足

いすゞ(7202) 週足

植物を原料とするバイオ燃料は、その燃料を燃焼させたときに出るCO2を、次世代の植物が光合成することで吸収するので、待機中のCO2の総量が増加しないというカーボンニュートラル効果で温暖化対策に有効だとされているが、ディーゼルで使えばさらに効果を発揮する。ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて燃費がよく、CO2の排出量が少ない。温暖化対策には非常によい組み合わせだ。

そのディーゼルについて、自動車メーカー共同の取り組みが明らかになった。5月19日に、自動車メーカー8社が「自動車用内燃機関技術研究組合」(AICE)なる団体を立ち上げたと発表。AICEは内燃機関、つまり自動車エンジンの基礎研究を共同して行い、その成果を各社がフィードバックして製品作りに役立てるというもの。いわゆる「日の丸ディーゼル」を共同開発するという試みだ。8社はスズキ(7269)ダイハツ(7262)トヨタ(7203)日産(7201)富士重工(7270)ホンダ(7267)マツダ(7261)三菱(7211)。どうやらAICEは小型車向けのディーゼルエンジン開発を念頭を置いており、そのためいすゞは入っていないようだ。

AICEの設立は、実は経済産業省の事情によるものだという。

「実は経産省は焦っている。安倍政権は成長戦略で、次世代自動車の普及を唱えている。が、燃料電池車(FCV)の普及は相当先だし、電気自動車(EV)はなかなか伸びず頼りにならない。プラグインハイブリッド(PHV)に至っては存在感すらない。これら次世代エコカーによるCO2削減も見通しが狂った。原発再稼働が進まず、火力発電でCO2排出が増えている中、経産省は何らかの手を打たねばならなかった。その解の一つがクリーンディーゼルだった」(メーカー関係者)

経産省は「クリーンディーゼルエンジン技術の高度化に関する研究開発事業」として今年度予算に5億円を計上している。この5億円をまるまるAICEに補助金として出している。つまりAICEは、同補助金の受け皿として設立された側面もあるのだ。

いずれにせよ、ディーゼル開発推進では、思惑は違えど官民が同じ方向を向いているのだ。

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