騰落レシオ過熱「恐るるに足らず」 調整回避に2つの背景

夕凪所長のイベント投資100% 連載


危険伴う 安易な空売り

「いくらなんでも短期間に株価が上がり過ぎだろう。いつ調整があってもおかしくない」。こんな時によく利用される指標として騰落レシオがある。この値が130を超えてくると、先ほどの声が大なり小なり聞こえてくる。

今年6月に入ってからというものの、相場がかなり強い状態になり24日には騰落レシオが160を超えてきた。数年に1度あるかないかという値である。まさしく株価の調整を警戒するような状況にある。

騰落レシオは一般的に、東証1部の銘柄について、25営業日間の毎日の値上がり銘柄数の総計を分子、25営業日間の毎日の値下がり銘柄数の総計を分母にして100を掛けて算出するものを利用している。

値上がりの銘柄数が値下がり銘柄数より多ければ100の値よりも大きくなり、逆に値下がり銘柄数が値上がりの銘柄より多ければ100の値より小さくなる。160という値の場合、値上がり銘柄が16に対して値下がり銘柄が10の割合で25営業日間に平均して存在していたことになる。

では騰落レシオが130を超えてくると株価が調整しやすくなるというのは本当であろうか。早速調べてみることにした。騰落レシオが130と140を超えているケースについて、その超えている日をベースにしてTOPIXの終値の推移がどうなるのかについてグラフにしてみた。縦軸はTOPIXの上昇率であり、横軸は営業日数で0のところが超えた日に該当する。調査対象期間は2004年から13年までの10年間である。騰落レシオが130を超えている日は172日間、140を超えている日は70日間存在していた。

figグラフをご覧いただくとすぐに分かるのは、「調整しやすい」とはまるで逆の現象が起きていることである。上昇ペースは緩くなるものの、そのまましばらく高値が続くことを示している。また騰落レシオが130を超えているケースよりも、140を超えている方がさらに上昇しやすい。

一体なぜこんなことが起こるのであろうか。1つ目として考えられるのは、強い上昇相場には新しい資金が入ってくることが多いため、その資金が抜けない限りは高値を維持しやすいという理由ではなかろうか。2つ目としては、早い上昇スピードについていけず、そういった人は株価下落の押し目を待って買いの準備をするために、多少下げたところですぐに買いが入り、なかなか株価が落ちないためではなかろうか。

以上の推論が正しいかどうかは分からないが、グラフの事実から導き出されるのは「騰落レシオの値が高い」からといって「すぐに株価が調整する」ということにはならないということである。相場の過熱感を理由にして空売りを仕掛けるのは少々危険な行為なのである。

このグラフにはアベノミクス相場の期間が入っており、その影響でかなり上側に引っ張られていることは容易に想像できる。しかしながら、空売りで大きく損をする、買いで大きく儲けられるのはこういった極端な相場の時なのである。

騰落レシオが高いからといって必要以上に株価調整を怖がる必要はない。それよりも強い相場についていけずにチャンスを逃す方を注意したい。

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