取材の現場から トヨタと都知事がタッグ FCV普及にアクセル

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東京五輪が起爆剤

燃料電池車(FCV)の行方だが、国や業界が掲げる「2015年実用化」がもはや名ばかりの目標であることは周知の事実。トヨタ(7203)ホンダ(7267)、現代自動車は来年に市販車を発売し、2017年に日産(7201)がFCVを発売するというが、その時点で肝心の水素ステーションはどのくらい設置されているだろうか。現時点で計画されているのはわずか32カ所にすぎない。目標とする100カ所の3分の1にも満たない。

2013東京モーターショーに初出展されたトヨタFCV(トヨタHPから)

2013東京モーターショーに初出展された
トヨタFCV(トヨタHPから)

ところがここへきて、トヨタ自動車と舛添要一東京都知事がタッグを組み、FCVの本当の意味での実用化に向けた環境づくりを始めている。両者が目指す実用化のタイミングは、東京五輪が開催される2020年だ。

FCVに関する動きは、5月中旬から始まった。まず、舛添知事がフル活動。5月15日に水素ステーションを視察。翌16日には都庁内に「水素社会の実現に向けた東京戦略会議」を立ち上げ、トヨタやJX(5020)パナソニック(6752)川崎重工(7012)を呼び、ヒアリングを行った。20日には9都県市首脳会議で「首都圏における水素社会の実現」を提案。それを基に6月3日に同会議が国に陳情書を提出。5月22日には都庁で、山本一太科学技術担当相と東京五輪での科学技術・イノベーションの活用について意見交換し、FCV推進にも触れた。

「舛添知事は選挙公約で脱原発を宣言した。その具体策として水素社会を提示。その公約を果たすべく、オリンピックをめどとする環境整備に動きだした」(都庁関係者)

そんな動きの中でトヨタは5月29日、都内のシンポジウムで、2020年代にFCVを年数万台規模で市場投入すると表明。また同日、日経新聞が「トヨタ、年内にもFCV市販」とも報じ、FCVの前倒し発売を検討していることが明らかになった。

「トヨタは来年のFCV実用化は無理とみて、目標を2020年に定めた。それまでに、水素ステーションなどインフラ整備を政府や業界に促す。その起爆剤として東京五輪を利用する腹積もりだ。その点で舛添知事と利害が一致している。今年末か来年にFCVをまず出し、そして5年後、東京五輪に合わせてFCVをフルモデルチェンジし、本格展開する」(自動車担当記者)

東京五輪が水素社会・東京をアピールする機会となり、かつ「FCVのトヨタ」を世界に知らしめる絶好のチャンスとなるか。

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