取材の現場から ビッグデータ・ビジネスの潮流

取材の現場から 連載


個人情報めぐり国際闘争

ネット検索大手のグーグルが5月13日、欧州で敗訴した。スペイン人男性の社会保障費未払いを報じた1993年の記事が今でもネット検索するとヒットするので、その削除を求めたもの。EU(欧州連合)「データ保護指令」では、個人データについて当人から請求があった場合、当該データを削除することが義務付けられている。これは「忘れられる権利」と称されている。

ビッグデータ・ビジネスが何かと注目されているが、一方で、個人情報(パーソナルデータ)をどう扱うかが議論となっている。日本でも今、政府の「パーソナルデータに関する検討会」が議論を進め、6月中に報告書をまとめる。

欧州ではパーソナルデータの商業利用には、あらかじめ個人の同意を得ることが義務付けられている。米国は事前同意は不要で、個人から請求があった段階で情報利用をやめる。日本は、欧州型を採用するとみられている。

ヤフー(4689) 日足

ヤフー(4689) 日足

これに対してヤフー(4689)は、「日本のITが完敗してしまう恐れがある」と、わざわざ会見まで開いて反論した。

ただ世界の潮流は、規制強化に振れている。特に欧州ではグーグルが狙い撃ちされており、ドイツでは、グーグルの個人情報保護指針が不明確だとし、ベルリン地裁が違法との判決を出した。フランスでも、個人情報ガイドライン違反で、15万ユーロの制裁金を課されている。

「ネット・ビジネスが米国一極集中型となっており、それに対して欧州が反発している。安全保障の観点で、今後、国際規制が厳しくなる方向性が出ている」(外務省OB)。

FBIやNSAなど米情報機関が、ネット企業が保有する個人情報を秘密裏に入手していたことが明らかになった。グーグル、アップル、フェイスブック、スカイプ、ベライゾン、AT&Tなどから入手していたとされる。各社、米国に本社があるため、米政府は国家権力を使って情報を入手していたのだ。それができない欧州が反発するのは当然だろう。

その中でブラジル議会が4月、「ネット憲法」なるものを可決。国民のプライバシーがネットで侵された際、ネット企業が海外であってもブラジル政府が削除を求める権利を行使するというもの。もちろん現時点で効力はないが、これに他国も賛同すればグローバルで流れが変わるのではないか、とも期待される。日本人にとっても決して悪いことではない。

ただ、7兆7,000億円と期待されている日本のビッグデータ・ビジネスにプラスになるかマイナスになるか、その辺は不透明だが。

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