【深層】を読む 銘柄間格差にチャンス見いだす 研究、努力の報いられる相場

【深層】を読む 連載


「期初予想」とは違った展開に

年が明けてからの日本株市場は、パッとしない展開が継続している。昨年のアベノミクスに乗った相場上昇が鮮明だっただけに、感じる落差にはがっかりしている投資家が多いのは避けられない。外国人投資家にとっては、その傾向はより顕著に出ている。年初からの日本株大量売り越しは収まりつつある気配が見られるものの、昨年の大量買い越しとは全く様相が違う。海外のヘッジファンド運用者などと話をしても、アベノミクスの変調や成長戦略への失望を指摘する声は非常に多く聞かれ、中にはアベノミクスは終わってしまったと判断している向きまである。国内投資家は、それほど極端な見方はしていないものの、「昨年の勢いは無くなった」と感じている向きが増えているのは事実だろう。

国内企業の決算発表はおおむね終了したが、各社研究機関の集計によると、2013年度の実績は35%程度の経常増益率を達成しているものの、14年度の予想経常増益率は市場コンセンサスで10%割れ程度にとどまる予想が多い。つまり、増益拡大モメンタムはかなり大きく低下することになりそうだ。これ以上に低水準なのが、会社が発表する業績予想で、これまで以上に保守的様相を強めており、全体としては2%程度の経常増益率を見込んでいる計算になる。日銀の短観調査では、14年度の大企業の経常利益が前年度比2%減益となる見通しで、市場コンセンサスと経営者の見方の差はかなり大きい。一方、帝国データバンクが実施した有効回答社数が2万3,000社あまりに及ぶ調査によると、「業績見通しを増収増益とする企業は30.5%。13年度実績からは5.4ポイント減少するものの、見通しとしては調査を開始した08年度以降で最高となった」と、対象企業規模などによる数字のブレはかなり大きい印象だ。もちろん、平素から会社側の業績予想は期初には保守的にスタートし、期中に上方修正を発表し、着地点を迎える、というのが通常のパターンだ。楽観的な業績予想を出して業績下方修正を期中に発表せざるを得なくなるのは、株価の反応という観点からも、なるべく経営者としては避けたい事態だからだ。

今回は、4月からの消費増税に対する不透明感が強かったことに加え、毎度のように世界情勢には不透明感が色濃く漂っている。また、アベノミクスのおかげで昨年度の経常増益率がかなり好調だったことも、「次は控えめにしておこう」という心理状態を招いているように感じる。帝国データバンクの調査では、「人手不足による受注機会の喪失や、円安による原材料費の高騰など、地域や業界、規模で景気上昇による業績への反映は大きく異なる」と指摘されている。これはすなわち、株式市場における物色パターンにも、業種などによる違いがかなり大きく出てくることを予感させる。

落ち着いて考えてみれば、期初の予想の通りに相場や経済状況が進展したことが、過去にあっただろうか? 全体の印象としては、プラスにもマイナスにも、期初予想とは違った展開が待ち受けており、相場も、それに従って上下動を試すことの方が多い気がする。

市場全体の需給を考えると、アベノミクスの成長戦略で外国人投資家を再び日本株市場に招き入れることができるかも重要だが、市場全体の需給がパッとしなくても、今年は個別銘柄の差で稼ぐことができる可能性が大きくなるように感じる。全体が上昇する相場は、ただ乗っていけばいいので楽な相場と言える。しかし、全体が横ばいでも、必ず銘柄間格差は生じるし、そこにチャンスを見いだす投資手法は古今東西、基本中の基本だ。銘柄を研究して勉強する努力に報いる相場とも言えるわけで、前向きに応じたい。

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