特報 リソー教育 海外調達は課徴金処分の対象外

特報 連載


高い今期業績予想のハードル

4月21日、リソー教育(4714)が2014年2月期決算を公表した。昨年末に過去の不正会計が発覚、今年2月に2008年2月期から14年2月期第3四半期までの決算訂正を行っているが、今回は13年2月期通期と14年2月期の第1―第3四半期の再訂正も行い、教室関連の減損14億円も計上した結果、14年2月期の売上高は197億7,500万円、営業損益は5億800万円の赤字、最終損益は26億8,200万円の赤字となった。

リソー教育(4714) 週足

リソー教育(4714) 週足

不正会計発覚前の13年2月期は、売上高が217億円、営業利益が27億円、最終損益が15億円だったので、売上高は1割ダウン程度だが、営業損益はケタ違いに減ってしまった。

不正会計の手口は、本来生徒への返金対象になるはずの未消化分の授業の授業料を、複数の名目で消化済み、もしくは返金対象外とした架空売り上げ。現場レベルの細かい手口の集積で、その額、6年半で83億円にも上る。

決算修正の影響は貸借対照表、損益計算書双方に多大な影響を与えている。まず貸借対照表への影響についてだが、架空売り上げの中には正式契約に至っていないのに前倒しで計上していたものもあり、それは当然生徒の親から入金があるまでの間は営業未収入金として計上される。従って正式契約に至らなかった営業未収入金は永久に入金されない。入金されない不良債権の割合が高いと不正が表面化するので、猛烈なペースでの生徒獲得営業も同時に展開されていたという。

また、最初に一括で受け取っている授業料は授業消化までは前受収益として負債計上すべきものが、授業料受領時点で全額収益計上されていたため、売り上げを取り消して、営業未収入金を取り崩し、前受収益計上する作業が行われた結果、訂正前の13年2月期末時点の営業未収入金24億円は、14年2月期末時点では6億円に減り、6億円だった前受収益は41億円に膨れあがった。

同時に、規定の授業コマ数が未消化なまま退会する生徒の未消化枠も不正の温床になっていたので、今回、過去の退会者に正しく返金をする方針を打ち出した。そのために返金調整引当金なる負債勘定が新設され、その残高が27億円に上る。

今回の不正会計で課徴金処分も受けており、その額は4億1,477万円。有価証券報告書の虚偽記載は、その虚偽記載した有価証券報告書を参照書類として資金調達をすると課徴金がハネ上がる。リソー教育は11年9月発行の新株予約権と、12年10月発行の新株予約権で、それぞれ42億円ずつ調達している。この2回の調達に対する課徴金が、4億1,477万円のうち3億8,178万円を占める。

だが、実はこの金額で済んだのは不幸中の幸いで、リソー教育は13年7月に公募増資と自己株処分で合計47億円を調達しているが、これはどちらも海外調達だった。課徴金処分の目的は国内投資家の保護にあるので、海外調達に関しては対象外。これが国内調達だったらさらに2億円近い金額が乗ったはずだったのだ。

さて、そこでリソー教育の現預金残高は一体いくらあるのかだが、14年2月末時点で19億円。前期末の37億円から20億円近く減っている。年商の1割程度なので、ここから約4億円の課徴金を支払い、退会者への返金も発生するとなると、新規の教室開設ペースは大幅に落とさざるを得ないはずだ。そもそも不採算教室のスクラップをやると言っているのだから、新規開設にこれまでと同等の経営資源を割けるとは考えにくい。

損益への影響も絶大で、訂正前の13年2月期の売上総利益額が72億円(売上総利益率33.1%)であるのに対し、14年2月期の売上総利益額は38億円(売上総利益率19.3%)に落ち込んだ。売り上げの取り消しと新規の教室開設コストとのダブルパンチだったことが影響しているにしても、15年2月期はほぼ今期なみの195億円の売上高に対し、5億円の営業黒字を計画している。14年2月期比で10億円以上のコスト削減を行わないとこの営業利益の達成はできない。

7月発表の第1四半期決算に関心

これだけの問題を起こしても10億円のコスト削減を行い、今期並みの売上高を維持する計画というのはかなり高い目標値という印象だ。だが、株価の方は300円台を維持しており、予想PERは21倍、実績PBR(株価純資産倍率)は5倍を超えるなど、市場の期待値は高い。

昨年の海外調達分は課徴金の対象にこそならなかったが、引き受けた投資家が、何がしかのアクションを起こす可能性も残っており、7月に開示される第1四半期の進ちょく状況はこの事業計画の妥当性を占う上で、重要な判断材料になるはずだ。

リソー教育の業績推移(クリックで拡大)

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著者紹介 伊藤 歩(いとう あゆみ)
ノンバンク、外資系金融機関など複数の企業で融資、不良債権回収、金融商品の販売を手掛けた経験を持つ金融ジャーナリスト。主な著書に「TOB阻止 完全対応マニュアル」(財界展望新社刊)
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