取材の現場 沖縄の米軍基地移転問題 名護市長がマリコン株価を左右

取材の現場から 連載


オバマ大統領の来日を前に、日本政府はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉に前のめりになっていたが、並行してもう1つの重要案件、沖縄の米軍基地移転の作業も進めていた。

防衛省の沖縄防衛局は4月11日、埋立工事の準備に必要な作業申請を名護市に提出した。辺野古漁港の使用許可などの6項目。しかし同市の稲峰進市長は、基地移設反対を公約に掲げており、「市の権限が及ぶ項目では、国の申請には応じない」と公言している。

市長の権限とは一体どういうものか。

防衛省が内々で「市長の権限」についてまとめた資料がある。それを見ると、防衛省が今回申請した辺野古漁協の使用については、漁港漁場整備法や名護市の漁港管理条例、名護市公有財産規則といった法令で規制され、市長許可や市長との協議が義務付けられている。国といえど、それに従わねばならない。

五洋建設(1893) 週足

五洋建設(1893) 週足

工事を行うにあたっては、文化財が埋蔵されていないか調査する必要もあるが、それなども市文化財保護法に基づき、市の教育委員会との調整が必要で、工事に取り掛かるまでに二重三重の縛りがある。

「今回は6項目を名護市に申請したが、工事準備のためには、燃料タンクの設置や上水道の引き込みなど、最低でもさらに4つの申請が必要。それらも市長の承認や許可が必要。市長の権限は侮れない」(防衛省関係者)。

防衛省は、5月12日までに回答するよう名護市に求めているが、稲嶺市長は「事前に調整がなく、強引なやり方だ」と防衛省の対応を批判しており、申請却下は間違いないようだ。

そうなった場合、株価に影響が及ぶのはマリコンだろう。稲嶺市長が当選した際も、五洋建設(1893)の株価が下がった。マリコン大手の東亜建設工業(1885)東洋建設(1890)大本組(1793・JQ)若築建設(1888)不動テトラ(1813)も同様だろう。

米軍と関係の強い会社を探すと、大林組(1802)の名も上がる。沖縄米軍からの受注額はトップで、2012年度には8,246万ドルだったという。10年には、グアムの米国海軍病院の建替工事も受注している。また、NIPPO(1881)は沖縄以外でも横田基地や横須賀で米軍からの受注の実績がある。

いずれにせよ、名護市での基地移設に向けた作業は、すぐに動き始めるものではなさそうだ。ただ、11月には沖縄県知事選があり、その結果いかんでは、膠着(こうちゃく)状態に変化が起こる可能性は考えられる。

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