特報 ライツオファリング メガネスーパー「背水の陣」

特報 連載


デッドエクイティスワップを同時実施

2週間前のこの欄で、省電舎(1711)のライツオファリングを取り上げ、昨年末のセーラー万年筆(7992)以来3カ月公表がなかった、などと書いてしまったが、後からもう一度調べ直してみたら、2月に3件、3月にも1件出ていたことが分かった。読者の皆さまには深くおわび申し上げたい。

漏れていた計4件の中でも、2月12日公表のメガネスーパー(3318)のケースはかなり興味深いので解説してみたい。

メガネスーパーは2014年4月期中間期末(昨年10月末)時点で25億8,200万円の債務超過状態にあり、第3四半期末(今年1月末)時点では債務超過額が30億4,700万円に拡大している。これを4月末までに解消しないと、メガネスーパーは上場廃止になってしまう。今回のディールは上場維持をかけた背水の陣といったところ。

メガネスーパーのライツオファリングは昨年5月に次いで2度目で、今回はライツオファリングと第三者割当によるデッドエクイティスワップを同時に実施する。

まずはデッドエクイティスワップの方から説明しよう。昨年10月末時点でのメガネスーパーの有利子負債残高は99億円。このうち78億円が銀行借入で、残り21億円のうち19億6,000万円が筆頭株主のアドバンテッジパートナーズからの借入なので、このアドバンテッジからの借入を株式化する。さらに、過去に発行した新株予約権付きローンの残債2億6,600万円も引受人であるアドバンテッジが予約権を権利行使する。これで発行される株式がB種劣後株である。以上で合計24億7,600万円の資本増強ができる。

次にライツオファリングだが、ノンコミットメント型で権利行使価格は30円。公表当日終値の58円に対するディスカウント率は48.3%。調達目標額は20億円で、新株予約権1個で2株取得できる。基準日は2月21日で予約権の上場期間は2月24日から4月4日までで、権利行使期間は3月28日から4月11日までだった。

14日月曜日に一般投資家分の権利行使結果が公表されたのだが、結果は行使率32.1%で20億円の調達目標に対して結果は6億5,000万円と散々な結果に終わったが、これで話は終わりではない。

そもそも行使率がこんな記録的な低水準になったのは、発行済みの6割弱を保有するアドバンテッジが、取りあえずは約半分しか権利行使をしないスキームだったから。アドバンテッジは最終的に未行使分について、自社分だけでなくほかの株主に割り当てられた分も引き取り、払込総額10億円を限度に権利行使をする予定になっている。

イメージ的にはアドバンテッジ引き受けのコミットメント型なのではないかと思えなくはないのだが、定義上コミットメント型と言うのは証券会社などの金融機関が残存新株予約権をすべて買い取り、権利行使することを言うので、本件はコミットメント型とは言わない。

さらに、過去にアドバンテッジが引き受けていたA種劣後株の普通株への転換も実施される。ライツオファリング、A種劣後株の普通株への転換、新株予約権付きローンの予約権権利行使、デッドエクイティスワップの実施で、合計1億9,965万株が新たに発行され、すべてのディール実施後の発行済み普通株式の総数は、実施前の3,387万株から一気に2億3,359万株に増える。この会社の発行可能株数は1億7,600万株なので、発行可能株数の変更を株主総会にかけ、特別決議をとる必要がある。

デッドエクイティスワップによる希釈化率も25%以上となる。このため、ライツオファリングだけなら株主総会は不要だが、ディール全体としては総会決議が必要になり、4月23日開催の臨時株主総会に諮られる。

最終的にアドバンテッジが残存分の予約権をどのくらい引き取り、権利行使するのかはまだ発表に至っていないが、総会決議がとれさえすれば、アドバンテッジによるライツオファリングの追加権利行使がなくても無事債務超過は脱することができる。

3月は32カ月ぶりに単月黒字

今年3月は32カ月ぶりに単月黒字になったとして、上場10周年でもあるからと同社製品での株主優待を実施することを決めた。来年の今ごろは資本増強の心配をせずに済む状態になっていることを願おう。

ライツオファリングの実施事例

ライツオファリングの実施事例(クリックで拡大)

著者紹介 伊藤 歩(いとう あゆみ)
ノンバンク、外資系金融機関など複数の企業で融資、不良債権回収、金融商品の販売を手掛けた経験を持つ金融ジャーナリスト。主な著書に「TOB阻止 完全対応マニュアル」(財界展望新社刊)
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