取材の現場から 7月に除染学会が発表会 いであ、バイリーンなど注目

取材の現場から 連載


震災復興を難しくさせているのは、言うまでもなく原発事故処理だ。福島などで行われている除染作業は遅れている。国直轄の除染作業はこの4月には完了しているはずだったが、計画を3年延長した。市町村が行う除染も、福島県内の住宅地域ではまだ4割程度しか済んでいない。

除染方針を決める環境省の検討会は3月、基本的には再除染はしない方針を示した。しかし、「線量が高い場所は再除染を行うことになる」(環境省)という。除染は、山林など人が立ち入らない地域では行っていないので、雨や風で山林の放射能が住宅地域に流入する可能性も指摘されている。そうなれば、いつまでたっても除染作業は終わらない。また、復興担当大臣はここへきて、農業用ダムやため池でも除染を行うよう指示し、除染対象も広がっている。

いであ(9768) 日足

いであ(9768) 日足

これまで除染に計上された予算は1兆8,899億円だが、政府は除染には2兆5,000億円が掛かると試算している。除染対象が広がれば、さらに拡大する。除染後の中間貯蔵の費用も、現段階で1兆1,000億円必要だと試算している。

いずれにせよ、除染関連の業界にとっては、巨額の利権がまだまだ継続するということだ。

「特に市町村の除染はもうかる。通常の土木工事なら作業員の日当は1万円程度だが、除染なら2万円出る。作業も意外に単純で、土木工事より楽だ」(ゼネコンの派遣会社)

ただ、需要のある分野だけに、業界では新技術開発も進められている。震災があった2011年11月には産学共同で環境放射能除染学会が立ち上げられた。役員を見ると、副会長に鹿島(1812)、副理事長には、いであ(9768・JQ)が就いている。いであというと、可搬式除染装置など除染事業のおかげで中期計画を1年前倒し達成した会社だ。

その除染学会は7月、研究発表会を開催する。発表会は毎年行われており、昨年発表を行った上場企業を見ると、ゼネコン以外では、日本バイリーン(3514)タクマ(6013)クボタ(6326)荏原(6361)グループの水ing、パスコ(9232)アジア航測(9233・2部)など。巨額利権となった除染事業の受注には今後、技術力も必要となる。その企業努力を行っているのがこれらの会社だ。

ただ、除染はあくまで被災者のために行われるもの。除染業者のための除染であってはならない。発注者である国や自治体は、その辺も留意してもらいたい。

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